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2008年11月11日(火) 02時30分

<ドンキ放火>株価下落で利益狙う…空売りで送検方針毎日新聞

 東証1部上場の大型量販店「ドン・キホーテ」(東京都新宿区)の店舗に放火しようとしたとして逮捕された横浜市磯子区東町、電気設備工、関根英雄容疑者(36)が、株価を下落させて利益を生む「空売り」をした疑いが強まり、神奈川県警は、金融商品取引法違反(相場変動目的の暴行容疑)容疑で送検する方針を固めた。暴行容疑で同法を適用するのは全国で初めて。証券取引等監視委員会も刑事告発を視野に調べるとみられる。

 関根容疑者は、地元新聞社に「ドン・キホーテへの制裁を行う」との脅迫文をファクスで送りつけたとして、県警に10月19日威力業務妨害容疑で逮捕され、同29日、横浜市緑区の「東名横浜インター店」にガソリンをまき衣類を燃やした現住建造物等放火未遂事件(今年7月2日)で再逮捕された。5月26日に横浜市中区の「ドン・キホーテ港山下店」で衣類が燃えた不審火についても放火を認めているという。

 神奈川県警の調べに対し、関根容疑者は「ドン・キホーテの株価を下げてもうけようと思った」と供述したという。関根容疑者は放火事件前にドン・キホーテの株を証券会社などから借りて売り、株価が下落した後に安く買い戻してその差額を利益として得る「空売り」という手口を使ったとみられる。

 株価は当時1800〜2100円台で推移し、2店舗での放火翌日、それぞれ株価は前日比24〜25円安となった。関根容疑者は取引額100万円程度で、10万円超の利益を得たという。実際に放火が株価の下落に影響を与えたかどうかは不明。

 県警は、放火された店舗が営業中で客や店員に危害を加える恐れがあったことから、金融商品取引法の「暴行行為」に当たると判断した。【堀文彦、鈴木一生】

 ◇金融商品取引法の暴行容疑 同法は、虚偽の相場を利用した株売買を禁じており、具体的な相場変動を図る行為として(1)根拠ない情報を流す「風説の流布」(2)虚偽情報を流す「偽計」(3)暴力的な手段を使う「暴行」や「脅迫」−−を挙げている。ライブドア元社長の堀江貴文被告(36)=最高裁に上告中=が、企業買収などを虚偽発表したとして、風説の流布と偽計容疑で逮捕されたが、過去に暴行や脅迫容疑の適用はない。

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