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2008年11月11日(火) 02時27分

AIG公的資金拡大 ビッグ3にも注入圧力産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対して、米政府が10日金融安定化法に基づく400億ドルの資本注入を決めたことで、経営不振が続くビッグスリー(米自動車3大メーカー)にも公的資金投入を求める声が、オバマ次期大統領のおひざ元である民主党内で一段と高まりそうだ。

 資金繰り悪化で経営危機に陥ったゼネラル・モーターズ(GM)の首脳は先月末、ポールソン財務長官に対し、金融安定化法の7000億ドルの公的資金枠を活用した支援を要請したが、財務省側は拒否したとされる。米金融システムを担う金融機関に限定するとの立場だったからだ。

 GMは生き残りをかけたクライスラーとの合併交渉を凍結。米自動車産業の救済に前向きなオバマ上院議員の大統領選での勝利を受け、GMは7日の決算発表で「政府の支援がなければ資金不足に陥る」と政府支援にすがった。

 ペロシ下院議長ら民主党指導層も8日、ポールソン長官に書簡を送り、「自動車産業の健全化は金融市場安定化に不可欠」として金融安定化法の適用検討を求めた。

 こうした中、金融システムの根幹を担う伝統的な金融機関以外の保険会社に対する公的資金の投入は、ビッグスリーなど一般企業にも、門戸を開く契機となる可能性が高い。

 ただ、同法の適用は財務長官に「事実上無限の裁量を与えている」(金融当局者)という。政府介入に積極的なオバマ政権が、なし崩し的に支援対象を広げていけば、7000億ドルの公的資金枠が枯渇するのは時間の問題だ。「次期財務長官を早急に決め、公的資金投入の基準を明確化すべきだ」(米エコノミスト)との声も上っている。

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