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2008年11月11日(火) 02時27分

会期延長駆け引き激化 追加経済対策提出 民主手ぐすね…自民ジレンマ 産経新聞

 麻生太郎首相が最優先課題とする追加景気対策を含む第2次補正予算案をめぐり、政府と与党の温度差が広がりつつある。政府は「迅速さ」をアピールするため一部だけでも今国会に提出したい考えだが、自民、公明両党では今月30日の会期末で閉会し、次期通常国会で民主党との“決戦”を挑むべきだとの意見が大勢を占める。もし政府が今国会提出を強行すれば、民主党の徹底抗戦を受け、早期解散に追い込まれる「恐怖のシナリオ」が現実と化す可能性もある。(大谷次郎、水内茂幸)

 「2次補正は来週中に煮詰まってくるが、今国会に提出するかどうかは現時点では判断できない。正常な『ねじれ国会』に戻りさまざまなことがあるから…」

 自民党の大島理森国対委員長は10日午後、国会内で民主党の山岡賢次国対委員長と久々に会談したが、2次補正の扱いを問われると言葉をにごした。延長についても「まったく分からない」と首を振った。

 追加経済対策をめぐり、政府内では「年末年始の景気後退を避けるため、できるだけ迅速に対策を打つべきだ」(政府筋)との声が強く、11月末までに2次補正予算案と関連法案の提出を目指し、法案のとりまとめを進めている。特に生活支援定額給付金は、今国会中に財源に絡む関連法案を成立させなければ「年度内給付」が間に合わないとの見方が強い。

 しかし、福田政権下で「衆参ねじれ」の辛酸をなめてきた大島氏らが急ブレーキをかけた。今国会に提出すれば、すべてが台無しになる「恐怖のシナリオ」が浮かんだからだ。

 11月中に2次補正と関連法案を国会提出し月内の衆院通過を目指すが、12月上旬にずれ込みかねない。2次補正は予算案なので憲法60条に基づき参院送付後30日で自然成立するが、関連法案は、参院送付後60日の「みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に入れなければならない。

 関連法案成立を担保するには今国会を2月上旬まで大幅延長しなければならない計算となる。だが、通常国会は1月中に召集しなければならないため、今国会の延長リミットは1月29日となり、60日ルールによる衆院再議決は封じられる。

 大島氏らが危惧(きぐ)するのは、参院が今国会末に法案を継続審議にし、通常国会冒頭で否決することだ。こうなれば、参院は同一会期中に同一案件を同一院で審議しない「一事不再議の原則」を盾に審議を拒否し、関連法案を葬り去ることができるからだ。

 このため、与党内では今国会で2次補正と関連法案を提出し、衆院で継続審議にし、通常国会冒頭で参院送付する「奇策」も取りざたされた。しかし、これをやれば、国会は与野党全面対決となり、解散の導火線に火が付きかねない。

 だが、政府・与党が今国会を11月末に閉じる方針を固めれば、野党は新テロ対策特措法改正案の審議を引き延ばし、12月末までの延長を迫る可能性もある。延長は衆院解散と直結するだけに、会期延長をめぐる与野党の駆け引きが今後本格化しそうだ。

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