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2008年11月11日(火) 00時00分

口座番号からカード偽造 6地銀、4億円被害読売新聞

 企業から流出した個人情報を使って偽造されたとみられるキャッシュカードで、預金が引き出される被害が全国の地方銀行で相次いでいることが分かった。

 被害は2006年12月以降、少なくとも北洋銀行や中国銀行など計6行で総額約4億円に上るという。現物のカードから情報を盗み取る従来の偽造方法とは違って、口座番号などを入手すれば、カードを偽造できる新たな手口とみられ、銀行側のセキュリティー対策の強化が求められそうだ。

流出情報を悪用か

 警視庁は大がかりな偽造グループによる窃盗事件とみて、近く関係する警察と合同捜査本部を設置、本格捜査に乗り出す。

 同庁幹部や各銀行によると、北洋銀行では07年10月17〜23日の1週間に、顧客が知らない間に現金が引き出される被害が186口座であり、被害額は約1億4100万円に上った。中国銀行や千葉興業銀行でも同様の被害があり、いずれも顧客の居住地から離れた都内や大阪府などのATM(現金自動預け払い機)から引き出されていた。他の金融機関にも被害が広がる可能性がある。

 どの顧客にもカード紛失の経験はなく、大分銀行(大分市)ではカードを作っていない顧客の口座からもカードで預金を引き出そうとした形跡があった。

 偽造カードを使う従来の事件は、ATMや店舗に特殊な装置を仕込み、現物のカード情報を読み取って複製する「スキミング」が主流。しかし、今回は顧客の居住地がバラバラで、過去に利用したATMなどにも共通点がなかった。

 一方、預金を引き出された顧客の大半は、都内の健康食品会社の会員だったことが判明。引き出しに利用されたカードは、磁気部分に口座番号などを暗号化して組み込んでいるタイプで、同庁では偽造グループが各行のカード情報を解析したうえ、健康食品会社から流出した口座番号を使って大量に偽造カードを作った疑いが強いとみている。

 暗証番号については、北洋など3行で現金が引き出される直前、電話で暗証番号を入力して口座残高を照会するサービスの利用が急増していたことから、偽造グループが生年月日や電話番号を手当たり次第に入力して探り出したとみられる。間違った番号を打ち込んだケースが、2日間で1000件を超えた銀行もあったという。

 同庁では、被害にあった地銀はカードの解析が容易だった可能性があるとみて調べている。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/ryusyutsu/20081111nt05.htm