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2008年11月11日(火) 15時00分

ホンダ開発、簡単に装着できる「外骨格」:画像と動画で紹介WIRED VISION

本田技研工業(ホンダ)のロボット工学オタクたちが、靴のように装着して身体を支え、関節を保護する「外骨格」を開発した。ホンダによると、工場の組立ラインでのケガを減らす効果が期待できるもので、さらに、高齢者の動きを楽にする用途も考えられるという。

この機器は、自転車のサドルを靴に取り付けたような外観で、脚の間にフィットする作りになっている。これを装着することで、歩く、しゃがむ、立つなどの動作が、股関節や膝関節、足首関節に余計な負担をかけることなく行うことができる。

ホンダはこの『体重支持型歩行アシスト』試作機の有効性を、埼玉県狭山市にある埼玉製作所の車両組立ラインで[11月から]検証する予定で、長時間立ち仕事をする人に役立つだろうと述べている。さらには、高齢者や体力のない人の動きを楽にする助けにもなりそうだ。

東京にあるホンダ本社で行なわれたデモンストレーションの中で、本田技術研究所の主任研究員の芦原淳氏は「自転車のように手軽に使えなければならない」と述べた。「負担が軽減されるため、疲れにくくなるはずだ」

それにこの歩行アシスト機は、『Segway』よりオタク度が高く見える唯一の移動技術かもしれない。

ホンダはこの機器の開発にあたり、あの人間に似たロボット『ASIMO』(デトロイト交響楽団を指揮したことでも知られる)・プロジェクト用に開発された技術を応用した。機器の装着は、シートにまたがり、靴を履いてスイッチを入れるだけだ。

先週、この歩行アシスト機を試用したAP通信の記者、影山優理氏は、「慣れるのに少々時間がかかる」と書いている。「だが、この装置が私の動きをサポートしているのは感じた。しゃがむときには尻を押し上げて支え、歩くときには足の裏を押して脚を持ち上げやすくしてくれた」

ホンダが作ったこの「第3の脚」は、工場で働く作業員を人間工学的にサポートするという用途以外にも、杖や歩行器に代わるものとして実用化できる可能性がある。医療研究者たちは、何十年も前から歩行支援技術の開発に取り組んできた。

[筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダインが手がける]外骨格型ロボットスーツの『HAL』(Hybrid Assistive Limb)は試作段階を終え、[10月10日から]リース販売が始まっている。HALは生体電位信号を読み取り、装着者の動きを予測することができるため、身体障害者にとっては人生を変える可能性のある技術となるだろう。

ホンダの歩行アシスト機の場合、HALの複雑さとは対照的な「単純さ」が強みになりそうだ。装置は2つのモーターで動き、重さは7キログラム弱だ。リチウムイオン電池によって、2時間はしゃがんだり、歩いたりできる。ちょうど休憩をとるタイミングと一致する時間だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000004-wvn-sci