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2008年11月11日(火) 13時32分

田母神俊雄・前空幕長が改憲主張…国会参考人招致でスポーツ報知

 歴史認識に関し政府見解を否定する論文を発表して更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長は11日午前、参院外交防衛委員会での参考人招致で、憲法9条に関し「国を守ることについてこれほど意見が割れるものは直した方がいい」と述べ、改正すべきだとの考えを表明した。田母神氏は論文でも、集団的自衛権行使を容認すべきだと主張。航空自衛隊の前最高幹部が憲法改正の持論を国会で正式に表明したことは、シビリアンコントロール(文民統制)との関連でも問題となりそうだ。

 一方で田母神氏は、懸賞論文募集を航空幕僚監部の教育課長に紹介したことを明らかにした。教育課長は「自己啓発に役立つ」とファクスで論文の存在を各部隊に周知させており、田母神氏の関与で組織的に投稿を働き掛けた疑いが濃厚になった。浜田靖一防衛相が約6000万円の退職金の自主返納を求めたことについては「その意思はない」と拒否した。

 懸賞論文には、田母神氏以外にも航空自衛官94人が応募。防衛省・自衛隊は各部隊への通知について「教育課長の判断で、田母神氏の関与は確認されていない」としていた。ただ田母神氏は「私が指示すれば、千を超える数が集まる」とも述べ、直接的な指示を否定した。

 浜田防衛相は、懲戒処分の手続きに入らなかった理由に関し「(懲戒手続きの審理の中で)政府見解と異なることを新たに主張され、自衛隊員の士気が落ちることは避けたかった」と釈明。田母神氏は懲戒処分の審理に入った場合の対応に関し「村山首相談話は政治声明だと思うので、われわれにも言論の自由があることを主張するつもりだった」と答弁した。

 田母神氏は、懸賞論文を募集したマンション・ホテル開発企業「アパグループ」との関係について「資金提供などは一切受けていない」と強調。小松基地司令時代に同社の元谷外志雄代表をF15戦闘機に体験搭乗させたことを明らかにした。

 浜田氏は、田母神氏が同趣旨の論文を部内誌に寄稿していたことに「チェックができていなかった」と指摘し、航空自衛隊に田母神氏の考え方が浸透した可能性を「否定はしない」と述べた。

 民主党の浅尾慶一郎、犬塚直史、共産党の井上哲士各氏への答弁。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081111-OHT1T00182.htm