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2008年11月11日(火) 06時03分

麻生首相「ホッケの煮付け」??庶民派アピール空振りスポーツ報知

政府与党連絡会議に臨む麻生首相(中央)

 庶民は一日にしてならず—。麻生太郎首相(68)は10日、前日行われた学生たちとの居酒屋懇談のメニューに触れ「ホッケの煮付け」が出たと発言。自民党幹部から「ホッケに煮付けはありません。ホッケは焼くしかない」と突っ込まれる一幕があった。この日、発表された共同通信社の全国電話世論調査では内閣発足後初めて支持、不支持が逆転。迷走を続ける麻生首相には選挙前の「クビのすげ替え」説も浮上している。

 麻生首相の即席庶民ぶりが、またまた馬脚を現した。10日の自民党役員会。首相は9日夜に渋谷の居酒屋「北の家族」で行われた学生との飲み会の話題をふった。「(居酒屋で出た料理は)ホッケの煮付けとか、そんなもんでしたよ」

 これにやんわりとかみついたのが大島理森国対委員長。「ホッケに煮付けはありません。ホッケは焼くしかないんです」。大島氏の出身地の青森ではホッケは当たり前の食材だ。厳密にいえば煮付けにされないこともないというが、東京の居酒屋メニューでは、焼いて出されるのが一般的。「北の家族」でもホッケは“焼き”のメニューしかなかった。もともと麻生首相が堪能した3000円の宴会メニューに、ホッケ料理はなく、別の魚と勘違いした可能性もある。

 先の国会答弁でカップめんの値段を「400円ぐらい?」と答え、失笑された麻生首相。最近は漫画「こち亀」に便乗し商店街を視察するなど庶民派をアピールしてきたが、今回の居酒屋飲み会は完全に裏目に出てしまった形だ。

 政治評論家の有馬晴海氏は、首相の一連のパフォーマンスについて「小泉さんは『自民党をぶっ壊す』などの言葉で国民を引きつけたが、麻生さんは浮いている感じで国民の魂に響かない」と解説する。

 結局、居酒屋飲み会の後もホテルのバーへ直行した首相。「若い人と居酒屋に行くのは、本人にとってはかなり無理してやっている仕事。その後にホテルに行って葉巻をくゆらして初めて癒やされる。それが“オレのペース”ということなのでしょう」(有馬氏)

 庶民とセレブの間で迷走する麻生氏には、世論調査でも厳しい結果が出た。内閣支持率は前回より1・6ポイント減の40・9%に低下。逆に不支持率は3・2ポイント増の42・2%に上った。政権発足からわずか1か月半。早くも「不支持」が「支持」を上回った形だ。

 さらに、首相が満を持して打ち出した追加経済対策の意外な不評ぶりも浮き彫りに。総額2兆円の定額給付金について「評価しない」と答えた人が58・1%と「評価する」の31・4%を大きく上回った。「ばらまき」批判などに加え、支給対象をめぐる政権のドタバタぶりが不満を広げたとみられる。

 一方で救いは「どちらが首相にふさわしいか」との質問で、麻生氏(51・0%)が小沢一郎代表(24・4%)を前回同様引き離していることだ。

 有馬氏は「支持率が下がったとはいえ、まだ勝負できる数字。ただ、このままジリ貧の状況が続くなら、任期満了直前の来年7月に総裁選をやって、クビをすげ替えるという話もある」としているのだが…。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081111-OHT1T00085.htm