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2008年11月11日(火) 22時33分

裁判員裁判の控訴審は1審判決尊重を…司法研修所研究報告読売新聞

 来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁の司法研修所は11日、裁判員裁判の控訴審は1審判決を尊重すべきだとする研究報告を公表した。

 裁判員裁判は地裁段階に導入され、控訴審は従来通り、プロの裁判官3人で審理される。報告は、国民の視点を刑事裁判に反映させるとの制度の趣旨から、控訴審は1審判決に重大な誤りがないかのチェック機能にとどまるべきだとしており、今後の控訴審の運用に影響を与えるとみられる。

 国民から選ばれた裁判員が参加し、国民の感覚が反映された1審の判決を、職業裁判官だけで容易に覆せるようなら、制度の意義が損なわれるとの理由から、裁判員制度の控訴審のあり方が課題とされていた。

 報告は、1審の事実認定を控訴審がチェックする場合、「1審の判断が経験則上、明らかに不合理な場合でない限り、1審を尊重すべきだ」と述べた。量刑判断についても「不合理であることが明らかな場合を除き、1審の判断を尊重すべきだ」と指摘。「1審を破棄する場合は例外的なものに絞り込まれる」とした。

 ただ、死刑か無期懲役かが問題となるケースは、「死刑の適用は慎重に行われなければならない」とし、控訴審でも慎重な検討を要すると指摘した。報告は控訴審で調べる新たな証拠の範囲は「相対的に狭くなる」としたが、1審の公判前整理手続きで証拠を絞りすぎた結果、重要証拠が審理されていなかった場合は「1審判決を破棄できる」と述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000064-yom-soci