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2008年11月11日(火) 12時26分

【元Vシネ女優初公判】冒頭陳述(1)暴力がコミュニケーション産経新聞

【事案の概要】

 1概要

 本件は、被告人が交際中の被害者(当時53歳)と自宅マンション内に2人りきりでいた際、被害者の背中を果物ナイフで突き刺し、被害者を死亡させた傷害致死事件である。

 2被告人と被害者の関係

 (1)被告人は被害者と10年以上前に知り合い、交際を続けていた。

 (2)被告人は、性嗜好障害のサドマゾヒズム、いわゆるSM嗜好があり、以前から被害者との間でお互いに殴る蹴るなどの暴力を振るって性的興奮を高めた後、性行為に及ぶといったSMプレーを行っていた。

 被告人は知人に対し、被害者との間の暴力がコミュニケーションみたいなものだと話していた。

 3犯行状況等

 (1)犯行前日の平成20年1月25日夜、被告人は、東横線自由が丘駅で被害者と待ち合わせ、2人でアルコール類や食料品を購入するなどした後、午後9時13分ごろ被告人宅に帰宅した。

 (2)被告人と被害者は、翌26日午前0時13分ごろ、2人で外出し、アルコール類や食料品を購入した後、午前0時43分ごろ被告人宅に帰宅した。

 (3)被害者は午前4時45分ごろ、1人で被告人宅を出てコンビニエンスストアに行き、アルコール類を購入して午前5時ごろ被告人宅に帰宅した。

 (4)被害者が午前4時45分ごろに外出する前か午前5時ごろに帰宅した後、被告人は自室内において、被害者から暴行を受け顔面、両腕、両足等に傷害を負った。その際、被害者も被告人から暴行を受け、顔面擦過傷等の傷害を負った。

 (5)被害者が午前5時ごろに帰宅した後、被告人は自室内にあった果物ナイフで被害者が着ていたジャンパーの上から被害者の背中を1回突き刺した。

 4犯行後の状況

 (1)被告人は午前6時40分ごろ、被告人宅から119番通報し、午前6時46分ごろに駆けつけた救急隊員が被害者を搬送した。

 (2)被害者は午前7時57分ごろ、搬送先の昭和大学病院で死亡が確認された。

 (3)被害者の死因は左背部刺切創による肺損傷に起因する失血性ショックであった。

 以上の事実をいかなる証拠で立証するかにつき、以下争点を中心に脱明する。

 【争点に関する検察官の主張事実骨子】

 1被告人が本件果物ナイフで被害者を刺したこと

 (1)凶器は本件果物ナイフであること

 (2)犯行現場は被告人宅であること

 (3)犯行現場にいたのは被告人と被害者のみである(第三者の犯行ではない)こと

 (4)被告人が被害者の背中を突き刺した(被害者の自傷行為ではない)こと

 2被告人の突き刺し行為と被害者の死亡結果との間に因果関係が認められること

 3被告人に完全責任能力があったこと

 【被告人が本件果物ナイフで被害者を刺したこと】

 1凶器は本件果物ナイフであること。この事実は、以下の(1)〜(6)の各事実により立証する。

 (1)被害者の着衣(ジャンパー、セーター及びシャツ2枚の合計4枚)には被害者の背中の刺し傷の位置と合致する位置に刃物が刺さった痕跡があり、この着衣4枚の各構成繊維と類似した繊維片が、本件果物ナイフの刃体に付着していたこと

 特に、ジャンパーについては表生地及び裏生地だけでなく、中綿部分の繊維と類似する繊維片も本件果物ナイフの刃体に付着していた。

 (2)本件果物ナイフの刃体に血液ようのものが付着していたこと

 (3)本件果物ナイフの刃体全体をぬぐったものから被害者と同一のDNA型が検出され、柄全体をぬぐったものから被告人及び被害者のDNA型の混在したものが検出されたこと

 (4)本件果物ナイフは犯行後、被告人宅から発見されたこと。本件果物ナイフは、本件犯行当日に実施された被告人宅の検証の際、流し台シンク内にあった鍋の中から水に浸かった状想で発見された

 (5)本件果物ナイフの形状は、被害者の背中の刺し傷の形状と符合していること。本件果物ナイフは刃体の長さ約9・8センチ、刃の幅最大2・1センチ、刃の厚さ0・1センチの片方にだけ刃のある刃物である。これに対し、被害者の背中の傷は、深さ約6センチ、接着長(開いた傷口をくっつけた時の長さ)2・4センチ、外創端は鈍で幅0・1センチ、内創端は鋭であり、両者の形状は符合している。

 (6)本件果物ナイフの形状は、被害者のジャンパーの刃物が刺さった痕跡の形状と符合していること。ジャンパーの刃物が刺さった痕跡は一直線、長さ約2センチであり、本件果物ナイフの刃の幅と符合している。

以上の6つの事実から、凶器が本件果物ナイフであることを明らかにする。

 さらに、(7)被告人宅の検証の際、被告人宅にあった刃物は本件果物ナイフ、刃先の折れた洋包丁及び折りたたみナイフ(刃体の長さ約4センチ)であったが、同洋包丁及び折りたたみナイフの形状は被害者の背中の刺し傷の形状と符合しないことという事実も併せて立証する。

 以上の事実は、本件果物ナイフに関する鑑定書、本件果物ナイフの形状、鑑定に当たった教授の証言、同教授から事情聴取した内容をまとめた捜査報告書、被害者の着衣の痕跡等により立証する。

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