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2008年11月11日(火) 14時52分

【田母神氏招致・詳報】(10)「カリキュラムの中身は把握してない」浜田防衛相産経新聞

 11日の参院外交防衛委員会での田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人招致の詳報(10)は以下の通り。

  【写真と質疑・詳報<完全版>】田母神氏「論文いささかも間違っていない」(1)〜

                            ◇

【共産党・井上哲士氏の質問は続く】

 井上氏「当時、統合幕僚学校長だったわけだが、陸海空のすべての幹部教育の体系を改定したということ。この教育はすでに4年間行っている。教育目的としては、上級部隊指揮官または上級幕僚としての職務を遂行するに必要な広範な知識、技能を習得させるとなっている」

 「具体的に平成16年度の教育目標をみると、健全な歴史観・国家観を育成し、防衛戦略研究および将来の部下指導に資する、となっている。平成20年のものをみると、例えば『大東亜戦争史観』『日本国憲法の本質』とある。ほかの年度をみると『東京裁判史観』という項目もある。こうした呼び名自体が侵略戦争を否定する中で使われる言い方だ。大臣は先日『今後とも、村山談話などの政府見解を踏まえた適切な幹部教育に務める』といわれたが、こういう内容の歴史観、国家観教育が適切とお考えか」

 浜田靖一防衛相「いやあの、私もですね、今、委員からお話があったようなそのカリキュラム、中身については私も把握しておりませんので、今、その件に関して私の考えは申し上げられません。中身をみさせていただいて、どういうことなのか、ということは確認したいと思いますけれども、今この場で、発言はひかえさせていただきたいと思います」

 井上氏「何が行われているかを把握していない。重大だ。資料では、講師名は伏せてある。なぜ伏せる必要があるのか。実は、平成18年の内容の一部は、大正大学の福地惇教授が4月17日に行ったとホームページで明らかにしている。講義目的は、第1に昭和の戦争は東京裁判の起訴状と判決によるような侵略戦争ではまったくなく、自存自衛のためにやむを得ない戦争だったこと。それが了解できれば、現憲法体制は論理的に廃絶しなければならない虚偽の体制だと断言できることを論ずることであります、と言っている。論文で明らかにしたにとどまらない、村山談話にも政府見解にも反するような、特異な歴史観を自衛隊幹部全体に職務として教え込むというやり方が、田母神氏が主導したといわれる。大臣、重大だとは思わないか」

 浜田防衛相「その部分につきましてはですね、われわれ、統幕学校において平成15年度から一般過程でですね、歴史観国家観という科目を設けられておりまして、その科目がわが国の歴史について部外講師を講義などに実施している、ということも招致しております。ただ部外講師による講義は、歴史認識を含めさまざまな事項についてバランスの取れた見解と幅広い視野を有する自衛官を育成するために有意義であると考えております。他方、部外講師の選定については、自衛隊員が偏向した歴史認識を有することなく、歴史を客観的に理解することができるよう考慮しつつ、慎重に行う必要があると考えているところであります」

 「今、ご指摘にあったことがですね、逆に言えば、これを確認するという意味ではまだわれわれとすればそういったことも意識のなかにございませんし、逆に言えば、今、先生からご指摘のように、これは重大なことではないかといえば、まだこの影響がどのようにでているか把握をしておりませんので、今この場でお答えすることは控えさせていただきたいと思います」

(続く)

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000575-san-pol