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2008年11月11日(火) 17時48分

【元Vシネ女優初公判ライブ】(16)「殴られた後のセックスは非常に快感」…元女優が鑑定医に明かした赤裸々な性生活産経新聞

 《法廷では、木村衣里被告の精神鑑定を行った女性鑑定医に、男性検察官が質問を続けている。藤家英樹さんを刺した当時の衣里被告の精神状態について、鑑定医は「心身ともにフラフラだった」としながらも「意識は鮮明だった」と判断。責任能力の有無をめぐる重要な証言となりそうだ》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜初公判全記録

 検察官「犯行当時、被告を『性嗜好障害』と判断した理由は何ですか」

 鑑定医「彼女の供述からです。(藤家さんと)お互いに苦しめたり痛めあったりして、性的喜びを得られることを反復して行っている、ということで判断しました」

 《鑑定医は、2人をともに性嗜好障害のサドマゾヒズム、つまりSM嗜好があると鑑定している》

 検察官「責任能力への影響はありますか」

 鑑定医「ありません」

 検察官「『情緒不安定性パーソナリティー障害』と判断した理由は何ですか」

 鑑定医「これも供述などから、彼女は非常に情緒不安定で、自尊心、恐怖心が大きいということからです」

 検察官「責任能力への影響はありますか」

 鑑定医「ありません」

 検察官「このほかに、心理検査も実施しましたね。どのような検査をしましたか」

 鑑定医「ロールシャッハテストなど、人格を見るテストと知能検査をしました」

 検察官「心理検査はどのような結果でしたか」

 鑑定医「抽象的な問題では、問題解決能力がありますが、具体的な問題では問題解決能力はありません」

 《鑑定医は専門的な説明に続けて、衣里被告の性格をわかりやすく解説した》

 鑑定医「つまり、現実回避的で自己陶酔型。衝動を抑えられません。現実と空想の区別がつかない、というのが特徴的でした」

 検察官「精神病を疑わせるような所見はありましたか」

 鑑定医「あ、それはありませんでした」

 検察官「責任能力についてはどう考えますか」

 鑑定医「精神病的所見もなく、動機も了解できるのではないかと考えます」

 検察官「動機は何だったのでしょうか」

 鑑定医「性嗜好障害のSMプレイの延長上の不測の事態です」

 検察官「そう判断した理由は何ですか」

 鑑定医「(衣里被告)本人が119番通報をしており、鑑定留置中の、ほかの患者さんや私やスタッフへの対応でも、責任能力がないのではないかと疑わせるところはみじんもありませんでした」

 《検察側の冒頭陳述に沿う証言をした鑑定医。ここで質問者が男性弁護人に交代した。どうやって検察側の主張を崩すのかが注目される》

 《弁護人は鑑定医の経歴などを確認した後、衣里被告への問診内容について尋ねた》

 弁護人「木村さん(衣里被告)は、藤家さんとの性生活についてどのように話していましたか」

 鑑定医「『10年のお付き合いの中で、当初は普通だったがやがて暴力が増えた。いつも(暴力が止むと)最後にセックスがあり、それは“ご褒美”だと思っていたが、やがて藤家さんの方が、暴力がないと興奮できないということが分かった』と話していました」

 弁護人「被告は暴力について、どう話していましたか」

 鑑定医「『殴られて非常に痛いが、その後のセックスが非常に快感』と話していました」

 弁護人「藤家さんについてはどのように診断しましたか」

 鑑定医「彼女(衣里被告)からの陳述に基づきますが『通常の行為では興奮できない。彼女に暴力をふるい、いろいろなプレイの道具を使うと興奮できる』と聞きました」

 弁護人「藤家さんの自虐行為についてはどうですか」

 鑑定医「お互いにSとMなので、自分も痛めつけることで快感を得られたのだと思います。藤家さんもパーソナリティ障害なので、自傷行為の延長だと考えました」

 《SM嗜好があったという2人だが、弁護人はその私生活についてより詳しく質問していく》

 弁護人「被告の藤家さんに対する暴力についてはどうですか」

 鑑定医「『(藤家さんが)殴りかかってきたら最初のうちは防御態勢で構え、ある一定の時間(が経過したら)でやり返す』と聞いています」

 弁護人「サドマゾヒズムというのは、どういうものなのでしょうか」

 鑑定医「相手を苦痛に追いやったり、辱めたり、逆に痛めつけられたり、辱められたり、という両方の状態です」

 弁護人「なぜ、被告にサディズム的要素があると考えたのですか」

 鑑定医「相手に暴力をふるうことで相手が興奮するのを見て、自分も“痛気持ちいい”快感を感じる、ということで(判断しました)」

 弁護人「藤家さんはサドでありマゾであるということですか」

 鑑定医「はい」

 弁護人「衣里被告についても、藤家さん(の暴力)に抵抗するから、サドでありマゾであるということですか」

 鑑定医「抵抗もするし、彼に協力して合意の元でそういうことを行うからです」

 《衣里被告の鑑定書と見られる資料を引き合いに出し、弁護人が質問した》

 弁護人「比較的、藤家さんがサドで、被告がマゾということを書いていらっしゃるように受け取れるのですが…」

 鑑定医「どちらかといえば、藤家さんが攻撃することが多かったと思います」

 弁護人「藤家さんの顔を(衣里被告が)携帯で殴ったり、指をベルトではさんでひっかけた、という話は聞いていますか」

 鑑定医「はい。彼が一連の(暴力)行動の後、彼女に携帯を持たせて何回か(藤家さんの)目を殴らせ、その後、眼科で手術することになったと聞きました」

 《周囲にとっては驚くべきエピソードも、2人にとっては愛をはぐくむ行為だったのだろうか。衣里被告は私生活が赤裸々に語られるやり取りにも動揺することなく、背筋を伸ばして姿勢良く座っている》

     =(17)に続く

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