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2008年11月11日(火) 15時15分

【元Vシネ女優初公判ライブ】(11)解剖所見では「刺された後でも性行為は可能」産経新聞

 《法廷では、検察側の提出した証拠についての説明が続く。司法解剖を担当した医師の報告書の内容について、女性検察官が木村衣里被告に厳しい目線を向けながら読み上げている》

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 《中央の証言台前のいすにかなり浅めに座わり、検察官の示すモニターを見つめている衣里被告。モニターには藤家英樹さんの体についた傷が映し出されている。肝臓が損傷した写真などもあったが、衣里被告は腰を反るように背筋を伸ばし、微動だにしないで見つめる》

 検察官「(藤家さんの)顔面に表皮剥奪、その他体全体に表皮剥奪が認められます。凶器の種類については片刃の刃物で、皮膚面に水平に(刃体が)入っています。傷口が2・4センチなので、2・4センチ以下の薄くて小さい刃物で果物ナイフが近いです」

 《衣里被告は背中まで伸ばした長い髪を掻き上げることもなく、両手を膝の上に置いたままだ》

 検察官「(藤家さんの)顔面の表皮剥奪は爪の可能性が高いです」

 《被害者が襲われた際に抵抗して遺体に爪の跡がつくことがあるが、藤家さんはSMを趣向していただけに、いつのものかは判然としない。続いて検察官は藤家さんの既往症について述べる》

 検察官「肝硬変と認められ重症であります。末期の症状である腹水の貯留が認められないが、専門医が血小板の数値などから末期というのであればそうでありましょう」

 《藤家さんの刺し傷が浅かったが、行動能力はどれぐらいあったのだろうか。報告書では受傷後の藤家さんの行動について言及していた》

 検察官「血管が切れていないこの程度の損傷では、通常は死なない可能性が高いです。重度の肝硬変を患い、処置が遅れたので出血したと思われます。損傷後は、しばらく行動能力はあったのではないかと思われます」

 《藤家さんは刺された後に、どれくらい生存し、そして何をしたのか…》

 検察官「藤家さんの傷であれば、10〜20分で死亡することは考えにくいです。(分単位ではなく)時間単位で死亡したであろうと思われます。受傷後1時間であればセックスは可能であります」

 《弁護側の主張によると藤家さんは衣里被告に暴力を振るい、被告に謝罪の意味で自傷行為をし、そしてセックスをするというのが性生活のスタイルだったが、この時もセックスをしたのであろうか。解剖所見からは「可能」なのだが…》

 検察官「ただし、呼吸は苦しかったはずです。血中アルコールから判断すると藤家さんは日本酒なら4合程度を飲んでおり、軽度から中度の酩酊状態だったため、痛みは和らいでいたとみられます」

 《解剖所見では弁護側の主張にも合致すると思われるが、検察官は食い違う点も主張する》

 検察官「体の柔らかい部分を刺しているので力一杯刺したものではないと思われます。藤家さんの体には1カ月くらい経過したひっかき傷以外には、古い傷はありませんでした」

 《度々自傷行為をしていたという弁護側の意見とは真っ向から対立する》

 《検察官はここで男性検察官に交代。田園調布警察署で撮影され、衣里被告の全身にできた皮下出血の跡の写真がモニターに映し出された。こめかみ付近には2カ所ほどあざ程度の皮下出血があったが、約20カ所あるあざは腕や手、足など頭以外が多かった。検察官は脳震盪を起こすほどの暴力はなかったと主張したいようだ》

 《検察官はこの後、精神鑑定を行った医師に対する弁護側、検察側の質問内容について読み上げた》

    =(12)に続く

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