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2008年11月11日(火) 15時06分

【元Vシネ女優初公判ライブ】(9)血、下半身裸、脱糞…散乱する部屋、救急隊員が見たものは産経新聞

 《法廷では検察官の防犯カメラ映像の説明が続いている。「藤家さんが自ら背中を刺した」、もしくは「(外出先や外から侵入してきた衣里被告以外の)第三者によって刺された」と主張する弁護側。検察側は防犯カメラの映像を公開することで「第三者」による犯行の可能性を否定しようとしている》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜初公判全記録

 検察官「(防犯カメラの映像時間は)時報より1分48秒進んでいる。このため正確な時間で説明していきます。まずはこれを見てください」

 《防犯カメラには、事件前にマンションを出る藤家さんの姿が映されている。白のジャンパーを羽織り、ややうつむき加減だ。白髪も目立つ》

 検察官「午前4時45分、外出する映像が映されています。次が午前4時57分の映像です」

 《12分後、今度はコンビニエンスストアで買い物をしたビニール袋を提げて戻ってきた藤家さんの映像が映し出される》

 検察官「オートロックドアの外で、インターホン越しにだれかと話しています」

 《映像は送られる。余命半年の末期の肝硬変だったという藤家さん。防犯カメラは吐血する姿もとらえていた》

 検察官「(1秒後の)午前4時58分に2回目のインターホンを押します。この際、見えにくいかもしれませんが、血を吐いています」

 《さらに映像は続く。その後、オートロックドアが開き、藤家さんはエレベータに乗り込んだ後、いったん4階に。そこで降りたが、なぜか1秒後にエレベータに再び乗り込む。1階に降りた後、すぐに4階に戻った》

 検察官「以後、藤家さんが外出する姿はとらえられていません」

 《いったん4階でエレベータを降りた直後、何者かに刺されたする反論も予想されるが…》

 検察官は「なお2度目に4階から乗って、いったん降りた際、背中に傷などはなく、負傷している形跡はありません」

 《映像は衣里被告が救急車に助けを求めた午前6時46分まで早送りされた。そこには、新聞配達員がオートロック外の郵便受けに新聞を入れる様子しか写っていない》

 検察官「傷を負っていない藤家さんが外出してから帰宅し、その後、救急車が到着するまで、マンションに出入りした人はいません」

 《検察官は第三者による犯行の可能性を否定。女性検察官に代わり、証拠の説明が続いた》

 検察官「当直の消防司令からの通報内容の回答書を読み上げます」

 「119番入電は平成20年1月26日6時40分。通報者は木村(衣里被告)。通報内容は「救急車お願いします。飲んで帰ってきた彼がけがをしているんです。腹か、いや背中かも。場所は大田区鵜の木×丁目×番×号×マンション×号室です」

 検察官「次に(事件)当日、病院に搬送した救急隊員3人による聴取した内容です」

 《救急隊員の話からは生々しい事件後の様子が浮かびあがった。消防隊員が通報を受けたのは6時40分ごろだった。指令内容は「藤家が飲酒後に背中を負傷した」》

 検察官「オートロックの呼び出しを押すと『はい』という声がしてドアが開いた。マンション玄関の床には血が少しついていましたが、×号室まで行く間に、特に異常はあしませんでした」

 《救急隊員は呼び鈴を2回押し、出てきた衣里被告はチューリップハットを被り、眼鏡にコート、スウェット姿だったという。「どうしたの」と聞く救急隊員に衣里被告の第一声は、「寝ていて分からない」だった。ようやく現場に踏み込んだ救急隊員が見たものは…。女性検察官が続ける》

 検察官「部屋は暴れたかのように物が散乱しており、室内には2人以外にいませんでした。散乱した物を避けて部屋の奥のベッドに行くと、入り口側に顔を向けた藤家さんがいました。意識はあるものの、動かしてもあまり反応はありませんでした」

 《具合を確認した救急隊員だが、藤家さんは「うん」とかすかに答えるだけで、目はずっと閉じられたままだったという》

 検察官「服装は黒のダウンジャケットに黒のセーター、コートもかけていました。下半身裸で脱糞した跡のほか、20センチ大の血だまりもありました」

 《防犯カメラの映像に映っていた藤家さんは白のジャンパー姿で、ベットに横たえられていた救急隊員が見た服装とは異なる》

 《救急隊員は藤家さんの脱糞を「とりあえず拭いてあげましょう」と衣里被告にすすめ、被告は数枚のタオルを取り出して処理したという。その際、救急隊員にこう話した》

 女性警察官「木村(衣里被告)は『寝ていて起こされたら、背中をけがをしていた。酒を飲むといつも暴れるんです。暴れて嫌がるのを何とか、いつものように瞬間接着剤で止血したんですが、血が止まらずに通報しました。何とかしようとしたんです』と言いました」

 《衣里被告は前を見据えたまま聞き入っているようだ。午前の審理が終わり、午後から証拠調べの続きや証人尋問が行われる》

    =(10)に続く

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000578-san-soci