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2008年11月11日(火) 14時06分

【元Vシネ女優初公判ライブ】(3)「元女優は性嗜好障害のサドヒズム」産経新聞

 《法廷に設置された大型モニターと、争点が書き出された紙を使いながら、女性検察官が冒頭陳述を読み上げる。両側を刑務官に挟まれて着席した木村衣里被告の表情は、胸のあたりまでのばした長い髪にさえぎられ、うかがい知ることはできない》

 女性検察官「(衣里被告の自宅から押収された)果物ナイフの刃体には(死亡した藤家英樹さんの着ていた服の)繊維が付着していました。また、刃体についていた血液様のものからは、藤家さんのDNA型を検出。ナイフの柄からは(衣里被告と藤家さん)2人のDNA型を検出しました」

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜初公判全記録

 《モニターには、凶器とされる果物ナイフのイラスト、付着物の説明文が映し出されている》

 《女性検察官はこのほかにも、「藤家さんの背中の傷がナイフの形と符合している」「藤家さんが来ていたジャンパーにもナイフと合致する傷がついている」など、この果物ナイフが凶器であるとする根拠を読み上げた》

 女性検察官「次に犯行現場が被告宅であることを、1〜4の事実で立証します」

 《女性検察官の後ろに張り出された大型の紙には「(1)被告宅のベッドに被害者の血液が付着していた(2)帰宅時、被害者はけがをしていない」など、立証の根拠となる項目が書き出されている》

 女性検察官「なお、被告宅以外の血痕については、藤家さんのDNA型と一致しました。しかし、藤家さんは肝硬変のためここ数年、血の混じったつばを頻繁に吐いていました。つまり、藤家さんの背中の刺し傷とは全く関係ないことを立証します」

 《事件当時、衣里被告は警察に「藤家さんがけがをして帰ってきた」と説明していた。自宅近くの路上には血痕が確認され、第三者による犯行も疑われたが、検察側はこの血痕は藤家さんの病気によるものだと判断した》

 女性検察官「次に、現場にいたのは被告と藤家さんのみで、第三者の犯行ではないことを立証します」

 《その理由として、女性検察官は「救急隊員が到着時、部屋には鍵がかかっており、密室状態だった」「(衣里被告の証言にも)第三者が内部に侵入したような言動は一切ない」「ナイフから第三者のDNAが検出されなかった」−ことを挙げた》

 《弁護側は、罪状認否で「第三者の犯行」である可能性も指摘していたが、検察側はこれを否定した。また、藤家さん自身の自傷行為である可能性についても、背中の傷の鑑定結果を根拠に否定した》

 女性検察官は「(傷の状態から)刃物を刺した時と抜いた時の方向は全く同じでした。藤家さんは当時、軽度から中度の酩酊状態で、日本酒を4合程度飲んだ状態とみられます。この状態で、自分で同じ方向に抜くのは難しいと考えます。藤家さんの着衣にも、自身の左腕を後方に回したようなシワなどは確認できませんでした」

 《一方、注目の動機については、こう断言した》

 女性検察官「被告にはいわゆるSM嗜好があり、本件行為もSM思考プレーの行き過ぎによる犯行と認められ、被告が藤家さんが刺す動機は十分認められます」

 《衣里被告が藤家さんを刺したとすれば、公判の争点である、藤家さん死亡との因果関係はどうなるのだろうか。女性検察官はこう結論づけた》

 女性検察官「危険性の高い、被告の突き刺し行為と、藤家さんの既往症が相まって死亡したと考えられます」

 《また、弁護側が「ない」とした責任能力については、こう述べた》

 女性検察官「被告は情緒不安定性パーソナリティ障害(衝動型)と性嗜好障害のサドヒズムだが、責任能力に影響する障害ではありません。また、自分で119番通報をするなど、当時、被告に意識障害はありませんでした」

 《弁護側の主張を真っ向から否定する内容となった検察側の冒頭陳述。続いて弁護側の冒頭陳述が行われる》

     =(4)に続く

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