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2008年11月10日(月) 21時37分

<G20>共同声明、IMF改革など具体策の調整難航も毎日新聞

 日米欧に新興国を加えて世界的な金融危機への対応策を話し合う20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議(G20)は9日、ブラジル・サンパウロで閉幕した。共同声明は、14日から米ワシントンで開かれる第1回緊急首脳会議(金融サミット)をにらみ、国際通貨基金(IMF)、世界銀行の改革・機能強化などを打ち出した。しかし、IMFなどの具体的な改革像をめぐっては、権限拡大を求める新興国と主導権維持を図りたい先進国との利害対立も浮かび、金融サミットに向けて調整は難航も予想される。

 「先進7カ国(G7)だけで金融危機が解決できないのは明らか」−−。G20の会議の前日、中国、インド、ブラジル、ロシアの新興4カ国は独自に財務相会議を開催。国際金融や世界経済の運営で新興国の発言権拡大を目指す姿勢を鮮明にした。新興国は今回の危機を「米欧流の資本主義の失敗」と指摘。戦後初めて日米欧がそろってマイナス成長に陥る中、「世界経済の下支え役を新興国に求めるなら、国際会議や国際機関での発言権といった権限をよこせ」というのが本音だ。G20議長国・ブラジルのマンテガ財務相は会見でG7よりも新興国を含むG20が重要な役割を担うべきだとの認識さえ示した。

 これに対し、先進国は新興国の影響力拡大は認めながらも「世界経済や国際金融秩序を仕切る力量はまだない」(国際金融筋)と見ており、G20の会議でもカナダは「金融危機のさなかにIMFの本質論に踏み込むべきではない」とけん制した。

 G7のうち財務相が出席したのはカナダとフランスだけだった今回のG20は新興国の意見が反映され、声明は「金融危機は先進国の不十分な金融規制・監督の結果」と明記。G7主導のIMFや金融安定化フォーラムの運営を新興国に開放するように求める要望も盛り込まれたが、これが金融サミットでどう扱われるか。G7と新興国のあつれきが露呈すれば、市場の不信を呼びかねない。【清水憲司】

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