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2008年11月10日(月) 21時17分

<定額給付金>「高額所得者」線引き困難…迅速性を優先毎日新聞

 麻生太郎首相は10日昼、首相官邸で記者団に対し、総額2兆円の定額給付金について「(支給対象の)制限を法律でやる話は終わった。辞退は、市町村の窓口で自発的にやってもらうのが簡単じゃないのか」と述べた。法律による所得制限は設けず、高額所得者には自発的な受け取り辞退を促す方式が望ましいとの考えを示した。これを受け、与党は「高額所得者」を線引きするかどうかなどをさらに検討し、11日中に制度の大枠を決定、政府に提示する。

 政府・与党内では所得制限を設けて自己申告させる方式が有力視されていたが、所得を一元的に把握するには個人情報保護法などの改正が必要で、年度内の支給が困難になることから迅速性を優先した。

 これに関連し首相は10日夕、記者団に「(辞退するかどうかは)本人の意識の問題だ。5000万円もらっても高額所得者じゃないと言う人もいる」と述べ、線引きにこだわらない姿勢を示した。しかし、与党内では、辞退の基準を何らかの形で明らかにすべきだとの意見も根強い。

 所得制限を巡って、首相の発言は二転三転した。当初は「全世帯給付」を明言したが、与謝野馨経済財政担当相が所得制限を主張すると、それに追随。結局、制限を設けずに高額所得者の自発的辞退に委ねる案となった。

 自民党の尾辻秀久参院議員会長は10日の記者会見で「最終判断は首相なので、おっしゃった通りだろう」と冷ややかに語った。ある自民党幹部は「いろいろな人がいろいろなことを言い出して混乱している。明日決めないといけない」と述べ、議論の迷走が首相の求心力に影響することを懸念。別の同党幹部は「こんなに混乱したら給付金のありがたみがない」と語った。

 一方、佐竹敬久・全国市長会会長(秋田市長)は10日、定額給付金について「年度末の繁忙期に窓口で給付などに対応するには限界がある。処理ミスが起きた時に市町村の責任にされては困る。混乱すれば責任は一義的に国が負うべきだ」と指摘した。

 与党のこれまでの調整で、支給額を1人当たり1万2000円とし、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者には8000円を加算することが固まっている。【三沢耕平、岡田悟】

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