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2008年11月10日(月) 18時18分

ヤフーはもう終わりなのかComputerworld.jp

 米国Googleが、米国Yahoo!の救済から手を引いた。米国司法省が7年半におよぶ完全な沈黙を破り、GoogleとYahoo!の提携に対して公式に異論を唱えたのがその理由である。一連の買収合戦のどの要素が、米国の反トラスト規制機関を深い眠りから呼び覚ましたのかはまったくの謎だ。いずれにしろ、Googleが同省の態度に恐れをなしたのはまちがいない。

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  一部には、Googleがこうした事態が起こることをあらかじめ想定して動いていたという説も出ている。米国MicrosoftおよびYahoo!の合併に際して、強力な“FUD(Fear Uncertainty Doubt:特定の商品や企業に関して消費者の不安、疑念、不信をあおる戦略)爆弾”を投下し、その間に自社とライバルの差をさらに広げようと画策したというのだ。このこと自体は悪とは言えないが、きわめて卑怯な行為である。

 半年前に自分を捨てた不実な企業とよりを戻すに当たり、Yahoo!は今、何を思っているのだろうか。Yahoo!の最高経営責任者(CEO)であるジェリー・ヤン(Jerry Yang)氏は、「Web 2.0 Summit 2008」の対談で次のように語っている。

 「今日に至るまで、わたしはMicrosoftにとっての最善策は、Yahoo!を買収することだと述べてきた。心の底から悪くない一手だと考えているし、いくらになるかは言明できないが、適切な価格であればわれわれには会社を売却する用意がある。事実、交渉の余地はあったし、実際に話し合いをしたいと願っていた。両社の主張も、それほどかけ離れてはいなかったと思う。だが、最後の最後になってMicrosoftは撤退し、それ以来、当社を買収しない意向であることをはっきり示すようになった」(ヤン氏)

 Microsoftが買収を持ちかけた当初、30ドル近くまで高騰したYahoo!の株価は、現在は10ドル台前半から半ばで取引されている。したがって、Yahooはもはや、いわゆる「上から目線」での交渉に臨むことはかなわない。

 株価が米ドルの価値を下回っているような現状から抜け出したいなら、Yahoo!は事の成り行きを静観していてはいけない。例えば次のような道が考えられるのではないだろうか。

(1)AOLを買収する
 長期的な視野に立ったとき、合併が両社にどのような意義をもたらすのかはわからない。だが、今にもヘビに飲まれそうになっているカエルが体を膨張させ、簡単には食われないようにするのと同じ効果はあるはずだ。もっとも、結局は傷だらけで図体ばかりが大きなカエルが1匹、残るだけだが。

(2)Microsoftが手に入れたいと考えている(検索および広告分野の)Yahoo!事業を買収させる
 とはいうものの、何が適当だろうか──「Yahoo 360」あたりだろうか。調査会社の米国Comscoreによれば、Yahoo!は米国だけで、1か月あたり1億4,200万ものオンライン・ユニーク・ビジターを獲得しているという。だがそれも、(それこそMicrosoftやGoogleといった)第三者の協力なくしては、利益化することはできない。これでは魅力半減だ。

(3)おとぎ話で主人公を苦境から助けてくれる妖精が現れるのを待つ。ティンカー・ベルの衣装を着た…“メディア王”ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏とか?

 1つだけ確かなのは、3社の駆け引きはまだ終わっていないということだ。

(Robert X. Cringely / InfoWorld米国版)

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