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2008年11月10日(月) 00時00分

ロ原潜で事故、20人死亡 日本海試験航行中と海軍中国新聞

 【モスクワ9日共同】ロシア海軍などによると、日本海で試験航海中だったロシア太平洋艦隊(司令部ウラジオストク)所属の原子力潜水艦内で八日、消火装置の誤作動による事故が発生し、乗員ら少なくとも二十人が死亡、二十一人が負傷し病院に収容された。艦体に損傷はなく原子炉は正常に稼働、放射能漏れはないという。

 海軍は原潜の名称を明らかにしていないが、ロシア通信は関係者の話として、事故を起こしたのはロシア極東の造船所で建造され、日本海のロシア領海内で航行試験中だったアクラII級原潜「ネルパ」と伝えた。民間テレビNTVは、事故はウラジオストク東方のウラジーミル湾付近で起きたと報じている。

 艦内で火災は発生しなかったが、船首部分にある消火装置が誤作動し、消火用のフロンガスが放出されたとみられる。

 日本政府は原因や被害状況などの情報開示をロシア政府に求めた。

 メドベージェフ大統領は詳しい原因調査をセルジュコフ国防相に命じた。検察当局は原潜の運航に問題があった疑いがあるとして捜査を始めた。

 検察当局者によると、事故は八日午後八時半(日本時間同午後七時半)ごろ発生した。死者のうち三人が軍人。海軍によると、原潜は日本時間の九日午後四時半ごろ、ロシア極東の沿海地方の寄港地に自力で到着した。同通信によると、寄港先は艦隊の基地があるウラジオストク近郊のボリショイカメニとみられる。

 同通信によると、事故を起こした原潜の建造は一九九一年に始まったが、財政難のため長く凍結され、最近ようやく完成。先月末から試験航海に出て、年内に艦隊に配備される予定だった。

 事故当時は二百八人が乗艦、うち八十一人が軍人だった。死者には造船所の作業員も含まれている。

 ロシアでは二〇〇〇年八月に北方艦隊所属の原潜クルスクが沈没。乗員百十八人全員が死亡し、同国史上最悪の潜水艦事故となった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811100032.html