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2008年11月10日(月) 13時50分

【総連事件「相棒」激白(5)】見せ金使ってしまった共犯者…「だまされたと思った」産経新聞

 《満井忠男被告の男性弁護人は、満井被告が、最終的な投資の交渉相手となったとしている航空ベンチャー会社のA氏の話を、(共犯とされる)河江浩司被告からいつ聞いたのか確認を始めた》

 満井被告の弁護人「平成19年5月23日に河江被告は、(投資話を進めていた都内の)○○弁護士から投資を断られた後、電話で『Aさんがいるから(投資は)大丈夫』と言ったのですか?」

 満井被告「大丈夫だと言いました」

 満井被告の弁護人「その電話で(Aさんの資金運用先という)ブルネイやファンドマネジャーの話とかをされたのですか?」

 満井被告「それは以前から聞いていました」

 《ここから満井被告の弁護人は、Aさんが海外で管理していたという投資資金60億円の話に触れながら、満井被告がAさんについてどのような認識を持っていたのかを聞き始めた》

 満井被告の弁護人「5月23、24日以降に、河江被告にAさんの資金について改めて尋ねたことはありますか?」

 満井被告「あります」

 満井被告の弁護人「どのような内容ですか?」

 満井被告「『動かせる金はどのくらいなのか』などです」

 満井被告の弁護人「Aさんは『自分の資金では問題があるが、別の投資仲間の金なら問題がない』と言っていたようですが、その金が60億円なのですか?」

 満井被告「自己資金か…」

 満井被告の弁護人「そういうことを聞いているのではありません。(中央本部の購入代金となる)35億円について、Aさんは自己資金を動かすつもりがないということですね?」

 満井被告「そうです」

 満井被告の弁護人「自分で動かしている投資家の金を使うということですか?」

 満井被告「そうです」

 《満井被告の弁護人は、河江被告が都内の弁護士グループとの交渉を進めるために要求してきた5000万円について質問を移す。満井被告に、受け渡しに不透明さがなかったことを主張させる目的だろう。弁護人は続けて、(満井被告が実質経営する)医療電子科学研究所の女性事務員が、河江被告に渡す5000万円の預かり証をつくったときの状況を確認する》

 満井被告の弁護人「いくらの預かり証だったのですか?」

 満井被告「3億円です」

 満井被告の弁護人「このうち5000万円を先に渡しているが、その5000万円についても預かり証を作ったのですか?」

 満井被告「『うち4月24日に5000万円受け取った』とサインさせました」

 満井被告の弁護人「24日という日付は、満井被告自身ではなく、(事務員の)○○さんが覚えていたということですね」

 満井被告「そうです」

 満井被告の弁護人「5月17日に河江被告へ弁護士グループへの見せ金として5000万円を出していますが、河江被告の調書を見ても、河江被告は(交渉相手の○○弁護士グループに)渡していないですよね」

 満井被告「渡していないです」

 満井被告の弁護人「その後、河江被告は(金を)使ってしまっていますよね」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「河江被告にだまされたと思いましたか?」

 満井被告「思いました」

 満井被告の弁護人「弁護士グループの話など、河江被告が全然ない話をしていたという認識はありましたね」

 満井被告「ありましたが、弁護士グループの(話がだめになった)時点までは信じていました」

 《ここで検察官が「弁護人の主質問は、誘導が過ぎるのではないでしょうか」と満井被告の弁護人に対して異議を申し立てると、弁護人は自主的に質問の仕方を変えた》

 満井被告の弁護人「河江被告に文書で(投資交渉の)経過説明をするよう指示しましたか?」

 満井被告「しました」

 満井被告の弁護人「文書の中に虚偽を書くように言いましたか?」

 満井被告「そんな理由はないし、言いません」

 満井被告の弁護人「結論として、Aさんと満井被告は会ったことはないのですか?」

 満井被告「ありません」

 満井被告の弁護人「河江被告を通して話を聞いていたのですか?」

 満井被告「はい、そうです」

 《満井被告の弁護人は、河江被告が主導的に交渉を進めていたということを主張している》

 満井被告の弁護人「(取引をする上で)Aさんが総連の土地・建物の取引に金を出してくれるかどうか確認する必要があると思いますが、その辺はどうしましたか?」

 満井被告「私はAさんに会いたいと言いました。『5000万円を返してくれ』と言ったら、(河江被告は)『ちょっと待って』と言ったので、私は『じゃあ(Aさんに)会わせてくれ』と頼んだのです」

 満井被告の弁護人「その後どうしましたか?」

 満井被告「『5月26日午後1時ごろに東京駅周辺で時間を取る』と言ってました」

 満井被告の弁護人「しかし、会うことはできなかったのですね」

 満井被告「人間ドックがあったので、緒方重威先生に会うことを頼んだのです」

 満井被告の弁護人「緒方被告は会ったのですね」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「人間ドックが終わった後、緒方被告に『途中参加したい』と電話しましたか?」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「緒方被告の対応はどうでしたか?」

 満井被告「『もう終わるから来なくていいよ』と言ってました」

 満井被告の弁護人「ではその時点では満井被告はAさんと会っていないのですね」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「Aさんと会った河江被告や緒方被告から連絡はありましたか?」

 満井被告「河江被告から(Aさんが)『北朝鮮に理解を示していて、自分は協力することで日朝関係に貢献したい』と話していたと連絡がありました」

 満井被告の弁護人「金を出したいということですか?」

 満井被告「はい、そうです」

 満井被告の弁護人「緒方被告からも同様の連絡があったのですか?」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「(Aさんが)いつ金を出してくれるという話はしていましたか?」

 満井被告「『できるだけ早く出す』という話をしていたみたいです」

 《満井被告の弁護人はAさんとの交渉について、ほかの2人より関与が薄いということを証明する質問に時間を割いた》

    =(6)に続く

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