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2008年11月10日(月) 12時59分

【総連事件「相棒」激白(4)】「質問終わってから答えなさい」「すいませんです」…裁判長の注意に照れ笑い産経新聞

 《満井忠男被告の弁護人は引き続き、時系列的に満井被告と関係者が会った日時と会話内容について質問を進めた。手元の眼鏡やペンをいじりながら質問に答える満井被告。その傍らで緒方重威(しげたけ)被告は、時折、満井被告を上目遣いで見やりながら、さかんにメモをとった》

 満井被告の弁護人「(平成19年)5月18日に(朝鮮総連側の代理人弁護士の)土屋公献先生の事務所に行きましたか?」

 満井被告「はい」

 満井被告の弁護人「理由は?」

 満井被告「緒方先生から前日に電話があり、『明日、土屋先生の所に行くのであなたも来てくれないか』と言われましたので行きました」

 満井被告の弁護人「集まったのは誰ですか?」

 満井被告「土屋先生と緒方先生と私です」

 満井被告の弁護人「緒方被告は、今後の見通しについて、土屋先生に何と話しましたか?」

 満井被告「『東京都内の○○弁護士グループとやりとりをしている。先方は金主と交渉するために関西にも出向くと言っているので、交渉の流れは今後も説明する』と言っていました」

 満井被告の弁護人「あなたは○○弁護士とは、その時点でやりとりをしていたのですか?」

 満井被告「全くしていません」

 満井被告の弁護人「分かりました。河江浩司被告からは、その後、進捗(しんちょく)状況の説明はありましたか?」

 満井被告「ありました。『ブローカーは排除して、自分と○○弁護士、緒方先生とでやる。心配しないでほしい』との話がありました」

 満井被告の弁護人「具体的に(総連本部の土地・建物の売買)契約に関する報告はありましたか?」

 満井被告「はい。5月22日の夕方、河江から電話がありまして、『○○弁護士が緒方先生と打ち合わせがしたいと言っているので、その旨を緒方先生に伝えてもらえないか』とのことでした。私は『あなたが直接電話をして』と言ったのです」

 満井被告の弁護人「河江被告は緒方先生の所に電話をしたのですか?」

 満井被告「それがしなかったらしいのです。河江は『○○弁護士と電話がつながらなくなった』と言い出しまして、私は『そりゃひどいじゃない』と言ったのです」

 《満井被告の弁護人は、緒方被告と河江被告、東京都内の弁護士の3人が、会合や電話で何を話していたかを中心に質問する。満井被告本人の当時の発言に対しては、あえて触れるのを避けているような印象だ》

 満井被告の弁護人「その後、どう進捗していきましたか?」

 満井被告「私の記憶では5月23日の夜、河江と用賀の喫茶店で待ち合わせをしました。『○○弁護士と連絡がつかないので、できない』と言ったので『そりゃ困る』と言ったら、『心配いらない。(航空ベンチャー社長の)Aさんと連絡を取り合っていて、(東京都内の弁護士に提示していたものと)同じ条件で引き受けてくれそうだ』とのことでした」

 《大手薬品グループから都内の○○弁護士。そしてAさんへ。出資交渉の相手はコロコロと代わっていく。どこまで出資話に現実性があったのかが公判の焦点といえる》

 満井被告の弁護人「それで、あなたはどうしましたか?」

 満井被告「Aさんについては河江から以前にも聞いていました。ブルネイに資金が置いてあり、王室ファミリーが来日するときはアテンドするような人だということでした。河江は夜にAさんの状況をまた連絡すると言っており、私は枕元に電話を置いて寝たのですが、電話は来なかったのです」

 満井被告の弁護人「その後は?」

 満井被告「24日の夜、河江から電話があり、『Aさん自身の金を動かせないが、別の投資仲間に声をかけるらしい。いずれにしても私の責任でやる』とのことでした」

 満井被告の弁護人「その経緯について、あなたから総連側には連絡しましたか?」

 満井被告「いえ、私は河江に『私が仲介すると不正確だし、スピードも必要なので、緒方先生や土屋先生にはあなたが直接、電話をした方がいい』とキッパリ指示をしました」

 《満井被告は一連の取引に関する証言で、初めて自ら「指示した」という言葉を使った。あくまで第三者的立場だったことを強調したいようだ。続いて尋問は、再び河江被告に預けた5000万円に焦点が移った。満井被告は、5000万円は当初、金主となる予定だった東京都内の弁護士の周辺者に対する“見せ金”として預けたと説明していた》

 満井被告の弁護人「東京都内の弁護士グループがダメになった後、河江被告に5000万円を返してほしいと言いましたか?」

 満井被告「正式にダメになったのは5月23日でして、いったん返してもらうことになると言いました」

 満井被告の弁護人「23日にですか?」

 満井被告「Aさんと進めるという話でして…」

 満井被告の弁護人「(途中で遮り)私が聞いているのは…」

 満井被告「(途中で遮り)金を返す返さないよりも、普通だったら返せといいますが、Aさんと話をつけているところなんですよ。だから返せというのは…」

 満井被告の弁護人「(途中で遮り)23日にはおっしゃってないんですか?」

 満井被告「いや…」

 《要領を得ないやり取りにじっと耳を傾けていた林正彦裁判長だが、ここでたまらず口をはさんだ》

 裁判長「5月23日には、返せとは言っていないのですか?」

 満井被告「はい」

 裁判長「ではいつ言ったのですか?」

 満井被告「正確に言ったのは6月11日かと」

 裁判長「そこまでは言っていない?」

 満井被告「いや、『返してよね』という趣旨の話は5月25日ごろには言ったと思います」

 裁判長「以前も注意しましたけど、質問が終わってから質問に答えるようにしてくださいね」

 満井被告「すいませんです。はい」

 《裁判長に諭され、満井被告は頭をかきながら照れ笑いを浮かべた》

     =(5)に続く

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