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2008年11月10日(月) 12時49分

【総連事件「相棒」激白(3)】“詐取”の一部は「総連のため出すつもりだった」産経新聞

 《続いて、朝鮮総連中央本部の土地・建物取引をめぐって、平成19年5月15日に緒方重威(しげたけ)被告らが東京都内の弁護士グループに資金調達を要請した際のやりとりについて、満井忠男被告が懸命に説明する。資金調達は架空の話だったのではなく、実現されそうな計画だったと強調し、中央本部を詐取するつもりはなかったと印象づけようとしているようだ》

 満井被告の弁護人「(15日に)ほかに何か話がありましたか?」

 満井被告「(共犯とされる)河江(浩司被告)が『○○先生(東京都内の弁護士の実名)の取り分から緒方先生の(謝礼)1500万円を出してほしい』と言いました。契約時に1000万円と年間100万円を5年間で500万円です。○○先生は『それはお出しします』といいました。河江は『(以前に資金調達を断られた)薬品会社グループに出した条件をそのまま(弁護士グループに)話してある』といっていたから、それを確認したのでしょう」

 満井被告の弁護人「ほかには?」

 満井被告「(3日後の)18日ぐらいには、お金(中央本部の売買資金)が何とかならないかという話をしました。○○先生は『(事前交渉の段階で、家賃の3億5000万円を)前払いか後払いかで河江ともめていたから(実際に資金を出す)金主の方と話が進んでいない。努力はしますが難しい』と言っていました」

 《弁護士グループが、5月18日という早い段階で資金調達を出す意向を示していたと印象づけられれば、中央本部の売買詐欺を否認する満井被告にとって、公判が有利に進む可能性もある。満井被告は、詳細に証言する》

 満井被告の弁護人「18日は無理と言ったんですか?」

 満井被告「○○先生の方は『いやあ、18日は無理だと思う』というから、『いやあ、そう言わないで』とお願いしました。われわれは後払いを前払いにしたいといっているという話を聞いていなかったから、内心、河江に対して『いい加減にしろ』と思ってムカムカしましたが、その場はそう言うしかありませんでした」

 満井被告の弁護人「それに対して○○弁護士は?」

 満井被告「『分かりました。緒方先生とは(これまでも)取引実績もあるし。緒方先生は刑事の方(専門家)ですが、私は民事実績があるから、契約書作成は私にやらせてください』と言いました」

 満井被告の弁護人「それに対して緒方弁護士(被告)はどう言ったんですか?」

 満井被告「『いや、それは困る。私は(中央本部を形式上、買い取るハーベスト投資顧問社長となるため)買い主ですから、私と土屋先生(総連側代理人の土屋公献弁護士)にやらせてください』と言い、○○先生も『分かりました』と」

 満井被告の弁護人「このことを、許さん(許宗萬・朝鮮総連責任副議長)には連絡しましたか?」

 満井被告「翌日会ってしました」

 満井被告の弁護人「土屋先生には?」

 満井被告「緒方先生が事務所から連絡したようでした」

 満井被告の弁護人「許さんには、翌日どこで?」

 満井被告「(東京都内の)パレスホテル10階です」

 満井被告の弁護人「どういう風に?」

 満井被告「前払い金3億5000万円が発生しました。どうするか考えてください、と」

 満井被告の弁護人「許さんは何と?」

 満井被告「『時間的に余裕がなく難しい。相談に乗ってください』と言うので、『私が(総連から以前受け取った)手数料など1億5000万円預かっていますから、これは使えますね、あとは許さんの方で…』と言いました」

 満井被告の弁護人「許さんは、満井さんに預けた金を使うことにしたんですか?」

 満井被告「そうです」

 《満井被告は「総連から引き出した資金の一部を総連のために使うことで許副議長と合意した」と主張しているわけだ。検察側が詐取金と主張する4億8400万円は、決して詐取金でなかったと印象づけようとしている》

 満井被告の弁護人「それで丸く収まったのですか?」

 満井被告「いや、それでも2億円の調達は難しいので…」

 満井被告の弁護人「結論はどうなったのですか?」

 満井被告「結論から言うと、どうしても払わないといけない金が5000万円と河江の仲介手数料が1億5000万円。これは流用できませんね。登録手数料がかかるけど、これは(支払いを?)延ばして、この分使えるかもしれません。固定資産税4000万円はこれは使えない…。そういうことにして…」

 《簡潔な答えを求めているのに、満井被告の話は長くなりがちで、いまひとつ要領を得ない。弁護人もややイライラしている様子で、「結論は」と再度、簡潔な答えを促す》

 満井被告「結論としては、許さんが夕方電話すると」

 満井被告の弁護人「最終的に3億5000万円は?」

 満井被告「許さんは電話で5000万円しか出せないと。私が1億5000万円出します。それから…」

満井被告の弁護人「いま話したように、買い取り側(満井被告や緒方被告ら)が必要な金を出すということですね?」

 満井被告「そうです」

 満井被告の弁護人「翌17日に河江に金を渡したことがありましたね?」

 満井被告「ありました。5000万円です」

 満井被告の弁護人「なぜですか?」

 満井被告「15日に、緒方先生の事務所で(都内弁護士グループと)話したとき、5〜6人のブローカーが来た。河江に『一体何人のブローカーがいるんだ、解決してくれ』と言ったら、『私の(受け取る)手数料1億円から5000万円払うことになっている。(ブローカーを納得させるため)見せ金として5000万円預けてくれませんか』と言うから、渡しました」

=(4)に続く

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