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2008年11月10日(月) 11時38分

【総連事件「相棒」激白(1)】「取引に“弾み”といって総連が3億持ってきた」産経新聞

 《在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から中央本部の土地・建物と資金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元公安調査庁長官、緒方重威(しげたけ)被告(74)と元不動産会社社長、満井忠男被告(74)の公判は、10日で22回目を迎えた。6回にわたった緒方被告への被告人質問が終了し、前回から満井被告の弁護人による、満井被告への被告人質問が始まっている》

 《5日の前回公判で弁護人は、東京都千代田区の朝鮮総連中央本部の土地・建物の任意売却にかかわるよう打診された平成19年3月の話から、順を追って満井被告に質問をぶつけていった。満井被告は、このころに土地・建物を「私(満井被告)が買いましょう」と話していたとする検察側の冒頭陳述の内容を否定。「金主をさがす努力はする」程度の話しかしていなかったと主張した》

 《さらに、4月13日の会合で「傘下の投資家連中にはもう話してある。30億円ぐらいはすぐに用意できる」と話していたとするくだりについても否定。「自分のファンドを解約するという名目で、朝鮮総連にその違約金4億数千万円を要求した」とされる翌14日については、「洗濯物を干すなどした後で、湯河原に行った」とアリバイを主張し、会合があったこと自体を否定した》

 《また、満井被告は、当時自民党衆院議員だった武藤嘉文氏から聞いた内容として、「麻生太郎外相(当時)が、『朝鮮総連は(当時の安倍晋三首相の直属案件を意味する)安倍マターだ』と言っていた」と証言。また、総連物件とかかわる間接的なきっかけをつくった人物として、インドネシアのスカルノ元大統領の元夫人でタレントのデヴィ夫人の名前が登場するなど、著名人の名前が続々と登場して傍聴席を驚かせた》

 《開廷直前の午前9時58分に紺色のスーツを着た緒方被告がようやく東京地裁104号法廷に入ってきたが、満井被告とは視線を合わせない。10時ちょうどに林正彦裁判長が開廷を告げた。証言席に移動する満井被告はグレーのスーツ姿で、被告人席にはたくさんの資料が入った白いトートバッグが置かれている。緒方被告は机の上にノートを広げている》

 満井被告の弁護人「前回公判(5日)で、19年4月18日に許さん(朝鮮総連の許宗萬責任副議長)から3億円を預けられ、『預けることはだれにも言わないでほしい』といわれたんですよね」

 満井被告「はい」

 《朝鮮総連中央本部の売買取引の話が現実化する前に、総連から満井被告へとわたった3億円。検察側はこの3億円は、緒方、満井両被告が総連からだまし取った4億8400万円の一部になったとしている》

 満井被告の弁護人「だれにも言ってはいけない理由を聞きましたか?」

 満井被告「許さんが言ったのは…私は『取引のときでいい』と言ったんですが…許さんは『本当にお願いしたい。3億円を総連が本当に持ってくるのか懸念されたら、(取引の)促進にマイナスになるといけないから、弾みをつけるような気持ちになってもらうために先に持ってきました』と言っていました。だから、『だれにも言わないでください』ということなんだと思いました」

 満井被告の弁護人「あなたから(現金を)求めたことは?」

 満井被告「100%ありません」

 満井被告の弁護人「3億円を総連が先に払うことは土屋(総連側代理人だった公献)弁護士も了解していましたか?」

 満井被告「18日ではないですが、取引で出すことは了解していました」

 《取引に“弾み”をつけるためとして、4月18日に3億円を受け取った満井被告。だが、満井被告は5日後の23日に、元信託銀行員の河江浩司被告=公判中=から、進行中の薬品グループの出資話がだめになったことを聞いたとしている》

 満井被告の弁護人「出資話がだめになったことで、3億円を返そうと思いませんでしたか?」

 満井被告「考えました。でも、『河江から、○○(大手薬品会社のグループ会社の実名)はだめになりましたが、引き続き○○弁護士が同じ条件で引き受けると言っています。金はいったんお返しすべきと思う』と許さんに電話で伝えたら、許さんは『○○弁護士がやってくれるなら、預かっておいてくれませんか』ということになりました」

 満井被告の弁護人「○○弁護士のことを満井被告は知っていましたか?」

 満井被告「100%知りません」

 満井被告の弁護人「○○弁護士のグループは、満井被告が指示して動かせる人たちですか?」

 満井被告「全然違います」

 《満井被告が強調したいときに使う口ぐせの「100%」が出た。大手薬品グループの出資話がだめになったものの、間を置かずに東京都内の弁護士グループの出資話が出たため、そのまま3億円を預かっていたという主張だ。言外には、「河江被告の言葉をそのまま信じていた」というニュアンスが込められている》

 満井被告の弁護人「河江の話では、○○弁護士との話し合いはどこまで進んでいましたか?」

 満井被告「並行して話を進めていたが、○○(大手薬品会社のグループ会社の実名)が先に手を挙げていた。○○弁護士のほうは『だめになったらこちらでやらせてくれ』とも言っていたという話でした」

 満井被告の弁護人「土屋弁護士からは、契約はできればいつまでにという話でしたか?」

 満井被告「4月27日ですが、予定が入っているのでできれば26日までにという話でした」

 満井被告の弁護人「26日までに間に合うか河江には聞きましたか?」

 満井被告「聞きました。○○弁護士や投資家と話をするから、26日は難しいのではないかといっていました」

=(2)に続く

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