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2008年11月10日(月) 17時15分

オバマ次期政権がCTOを募集、政府データの検索性向上を目指すComputerworld.jp

 バラク・オバマ(Barack Obama)次期大統領“肝いり”のIT計画が先週、静かにスタートした。この計画は、連邦政府機関のデータをGoogleのように簡単に検索可能にするというもので、計画実現に向けてCTO(最高技術責任者)の募集が開始された。

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 新政権の仕事への応募手段などは、このほど新設された「Change.gov」サイトに掲載されている。募集ポストの中で注目すべきは、連邦政府機関のITシステムを統括するCTOである。米国連邦政府がCTOを置くのはこれが初めてとなる。

 オバマ氏が連邦政府のIT面で目指す目標の1つが、政府機関のデータをGoogle検索のように簡単に検索できるようにすることだ。そのためには、政府のデータを、ユニバーサルにアクセスできるフォーマットに移行し、透明性とアクセス性を向上させることが必要になる。現在でも多くの連邦政府機関がデータをオンラインで公開しているが、そのフォーマットはバラバラで、ユニバーサルなアクセスには程遠いというのが実情だ。

 こうした現状を改善に導くCTOにだれが就任するのか。メディアではIT業界の大物の名前が数多く取りざたされている。例えば、GoogleのCEOであるエリック・シュミット(Eric Schmidt)氏(新政権の経済顧問チームの一員として、11月7日にオバマ氏と顔を合わせた)、MicrosoftのCEOを務めるスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏、Sun Microsystemsの共同創設者として知られるビル・ジョイ(Bill Joy)氏といった面々だ。

 だが、バルマー氏やシュミット氏のような要職にある人物が、連邦政府機関を相手にするフラストレーションだらけの職種を前向きに検討するかは疑わしい。

 ホワイトハウスがIT予算を管理することになったとしても、実権を握るのは連邦政府機関のほうだろう。現在でも、各連邦政府機関はそれぞれCIOを置き、独自のIT管理体制や手法、縄張りを持っている。そのため、連邦政府のCTOの権限は限られることになると、専門家は指摘する。

 カーネギーメロン大学のコンピュータ科学および公共政策教授で、米国連邦通信委員会(FCC)の元チーフ・テクノロジスト、デーブ・ファーバー(Dave Farber)氏は、CTOと政府機関との関係がぎくしゃくすることを心配する。「政府機関は、望まない路線を敷かれると、のろのろとしか対応を進めない可能性がある」

 連邦政府のCTOは全体的な方向性を定めるファシリテーターのような役割を果たすべきだと、ファーバー氏は語る。だが、CTOが実権を持つためには、大統領との密なコミュニケーションを確保することが極めて重要だ。また、政府機関から高い信頼が得られるだけの技術的な知識・経験や、政府機関との高い調整能力も求められると、同氏は述べている。

(Patrick Thibodeau/Computerworld米国版)

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