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2008年11月10日(月) 23時00分

露原潜事故、消火装置の誤作動や定員超過が原因か読売新聞

 【モスクワ=瀬口利一】日本海を試験航行中に乗員ら20人が死亡した8日のロシア原子力潜水艦事故について、インターファクス通信は10日、事故を起こした原潜で今年夏にも消火装置の誤作動が起きていたとする原潜修理工場の技術者の話を伝えた。

 海軍元幹部のポポフ上院議員は、事故艦に定員73人の3倍近い208人が乗っていたため、緊急時に十分な安全措置がとれなかったことが惨事を招いたとの見解を示した。

 政府紙「ロシア新聞」は10日、事故現場について、「サハリン西方の間宮海峡で発生した」とする地図を掲載。「ウラジオストク沖のピョートル大帝湾」と報じたメディアもあり、情報は交錯している。10日付独立新聞は、消火装置のボタンを誤って押した人為的ミスの可能性を指摘したが、露海軍当局は詳細公表を依然、避けている。

 ソ連崩壊後、ロシアでは財政難で軍装備が老朽化し、技術の低下や安全対策の軽視が深刻になっていた。コメルサント紙によると、今回と同様の「消火装置の誤作動」による原潜事故は1970年代から90年代にかけて少なくとも4件発生。事故が繰り返される背景には、軍の隠蔽(いんぺい)体質が真相究明や技術改善を妨げ、訓練不足や規律低下が野放しにされてきた事情がある。

 事故を起こしたアクラ級原潜「ネルパ」は、90年代に資金不足から建造中断を繰り返したが、ロシア経済が立ち直り、最近ようやく完成。同紙によると、数年前から露海軍が約8億ドルでインド軍に10年間貸与する政府間交渉を進めていた。だが、今回の事故で商談成立は難しくなった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081110-00000062-yom-int