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2008年11月09日(日) 13時26分

ロシア原潜で事故、40人以上死傷 放射能漏れなし産経新聞

 【モスクワ=佐藤貴生】ロシア太平洋艦隊所属の原子力潜水艦が航行中、艦内で消火システムが誤作動する事故が起き、乗組員20人以上が死亡、21人が負傷した。イタル・タス通信が伝えた。露海軍当局は艦体に破損はなく、内部の放射能レベルも正常値が保たれており、放射能漏れなどは起きていないとしている。

 原潜は事故後、ロシア極東沿海地方の基地に向け自力で航行して向かった。事故が起きた海域や原潜の名は明らかにされていないが、国営ロシア通信は製造工場関係者の話として、日本海で10月下旬から航行試験を行っていた原潜「ネルパ」だと伝えた。

 露大統領府によると、メドべージェフ大統領はセルジュコフ国防相から事故の報告を受け、今後とも事態の推移を随時報告するよう命令したと伝えた。大統領はチャイカ最高検察庁長官に対して原因究明を急ぐよう求める一方、関係当局に遺族への対応などに全力をあげるよう命じた。

 事故は8日に発生した。艦内で普段から行っている検査を実施したところ、消化システムが誤作動する事故が発生したとされ、艦首部分で起きたとの情報もある。事故を受けて検査は中断され、寄港命令を受けて基地へと向かった。負傷者21人は別の艦艇に引き渡され病院に向かっている。

 イタル・タス通信によると、原潜の乗組員は総勢208人で、うち81人が海軍所属の兵士ら。原潜内部での検査は製造工場の職員が乗り込んで行うケースもあり、こうした職員が適正な手順を踏まないで検査を行った可能性もあるという。

 ロシアでは2000年8月、北方艦隊所属の原潜「クルスク」が沈没して乗員118人全員が死亡する事故が起きた。

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