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2008年11月09日(日) 01時36分

知的障害者雇い農業展開 NTTデータ、沖縄・石垣島で中国新聞

 情報システム会社のNTTデータが沖縄県・石垣島で地元の知的障害者二人から三人を雇用して、十一月中旬から農業ビジネスを始めることが八日、分かった。法で義務付けられた障害者雇用目標の達成を目指す都市圏の大企業が、就職機会の少ない地方の障害者の雇用に踏み出すことで、障害者雇用に弾みがつきそうだ。

 NTTデータは障害者雇用支援会社ウイングル(仙台市)と連携し、知的障害者を初めて採用する。今後、他の地域でも地元農家の協力を得ながら同様の事業を展開し、知的障害者の雇用を進める方針だ。

 NTTデータの子会社「NTTデータだいち」が、石垣島で事業所を開設。雇用された知的障害者は、地元農家の協力のもとで農業の研修を受け、ビニールハウス六棟(約六千平方メートル)でパッションフルーツを栽培したり、ジュースに加工したりする。NTTデータの取引先への贈答用とするほか、一部は販売する。

 障害者の作業、生活面やストレス緩和などをサポートする社員二人も事業所に配置。今後、徐々に採用を増やし、将来的には二十人程度の雇用を目指す。

 従業員数五十六人以上の企業は、一定割合の障害者雇用を義務付けられている。ただ企業側から見ると、都市圏では通勤可能な障害者の就労率は既に高く、新たに採用できる人材が少ないこともあり、法定雇用率を達成できていない企業が多い。一方、地方の障害者にとっては実家を離れて都市圏で生活するのは困難な上、地方経済の疲弊で地元企業の採用も少なく、今回の取り組みは企業と障害者のミスマッチの解消につながると期待されている。

 NTTデータの担当者は「長時間労働の解消や女性の働きやすい職場づくりなどを推進するためにも、障害者雇用の取り組みを強化していきたい」としている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811080286.html