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2008年11月09日(日) 19時37分

ロシア太平洋艦隊の原潜が航行試験中に事故20人死亡スポーツ報知

 ロシア海軍などによると、日本海で航行試験を実施していたロシア太平洋艦隊(司令部ウラジオストク)所属の原子力潜水艦内で8日、事故が発生し、乗員ら少なくとも20人が死亡、22人が負傷した。詳細は不明だが、艦体に損傷はなく原子炉は正常に稼働、放射能漏れなどもないという。

 海軍は原潜の名称を明らかにしていないが、ロシア通信は関係者の話として、事故を起こしたのはロシア極東の造船所で建造されたアクラII級原潜「ネルパ」と伝えた。

 メドベージェフ大統領は事故原因の詳細な調査をセルジュコフ国防相に命じた。検察当局は原潜の運航に問題があった疑いがあるとして、捜査を開始した。

 検察当局者によると、事故は8日午後8時半(日本時間同午後7時半)ごろ発生、死者のうち6人が軍人という。事故を起こした原潜は自力航行し、海軍によると、日本時間の9日午後4時半ごろ、ウラジオストクがあるロシア極東の沿海地方の寄港地に到着した。

 事故は原潜の船首部分で発生した。海軍は消火装置が誤作動したとしている。民間テレビNTVは、艦内で火災は発生しなかったが、消火用の有害ガスが誤って自動的に放出されたと伝えた。

 ロシア通信によると、事故を起こした原潜の建造は1991年に始まったが、軍の財政難のため凍結され、最近になってようやく完成、先月末から試験航海に出ていた。

 年内に太平洋艦隊に配備される予定で、事故当時は計208人が乗艦、うち81人が軍人だった。死者の中には造船所の作業員も含まれているという。負傷者は別の艦艇に移され、ウラジオストクの病院で手当てを受ける予定。

 ロシアでは2000年8月に北方艦隊所属の原潜クルスクが沈没。乗員118人全員が死亡し、同国史上最悪の潜水艦事故となった。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081109-OHT1T00154.htm