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2008年11月09日(日) 19時29分

白鵬“蚊帳の外”の相手に不覚 狙い的中の安美錦産経新聞

 安美錦に右を差された白鵬が思わず引く。押し込まれて苦し紛れに小手を振ったが、相手の下手投げに屈した。手を出さずに顔から落ちる執念はみせた。だが、負けてしまっては右顔面にくっきりと残るすり傷がかえって痛々しい。

 完敗だったためか、支度部屋では「初日で硬くなったのかな」と淡々と振り返る。土俵入りで太刀持ちを務めるくせ者に不覚を取り、「太刀持ちに負けられないというのはあったかな」と笑みすら浮かべながら帰路についた。

 伏線があった。場所前、安馬を標的に安美錦も在籍する伊勢ケ浜部屋へ4日から3日連続の出げいこを行った。安馬とのけいこを繰り返したが、蚊帳の外に置かれた安美錦は両者の申し合いを漫然と眺めていただけではなかった。

 「安馬と横綱のけいこを見ていて、横綱を左から攻めるのは難しそうに見えたので右から攻めようと思った」としてやったりだったのは安美錦。狙い通りに右からの攻めを許し、けいこで無視した相手に手痛いしっぺ返しを食らった。

 これまでに朝青龍の休場で一人横綱となった4場所はすべて優勝している。「きょうの負けを吹っ切ってやるしかない」といって「ふー」と大きく一息。角界最高位の誇りをかけた土俵は、逆風吹き荒れる中でのスタートとなった。(奥山次郎)

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