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2008年11月09日(日) 18時20分

料理版ファッションショー「世界料理サミット」 来年2月、東京で開催 産経新聞

 ■最先端の技と感性「食の祭典」

 世界のトップシェフが集結する「世界料理サミット2009」が平成21年2月、東京を舞台にアジアで初めて開催される。フレンチの巨匠、ジョエル・ロブション氏をはじめ、約10カ国から料理界をリードする料理人が一堂に会する。最先端の技と豊かな感性が織りなす日本発の食の祭典。「料理界のファッションショー」として、定期開催を目指している。(榊聡美)

 ≪料理人の卵に刺激を≫

 この国際料理大会は、2月9日から3日間、東京国際フォーラム(東京・丸の内)で開かれる。

 「ファッションの世界にはパリや東京などでコレクションという発表の場があり、各国の最新の傾向を知ることができる。食でもファッションショーのようなことができないだろうかと考えたのです」と同サミット実行委員会委員長の服部幸應(ゆきお)氏(服部栄養専門学校校長)は説明する。

 欧米では、優秀な料理人が旬の調理法や技術を披露し合う「料理の学会」と呼ばれる交換会が定期的に開かれている。これが日本でもできれば食の将来を支える料理人の卵に刺激を与える機会になるはずと、5年以上構想を練り実現させた。

 ≪斬新なアイデア≫

 プログラムのメーンとなるのが、国内外の一流シェフ約20人によるデモンストレーション。服部氏が「食の世界のスーパースターたち」と呼ぶ、頂点を極めたそうそうたる顔ぶれだ。

 日本にも出店し、ファンの多いフランスのロブション氏や、「分子ガストロノミー」という科学の考え方を採り入れたピエール・ガニエール氏をはじめ、世界的なスペイン料理ブームの火付け役となった3つ星店「エル・ブジ」のフェラン・アドリア氏も参加する。

 固定概念を覆す斬新なアイデアから生み出される料理は国を超えた多くの人々を魅了し、「世界の食の方向を決めてきた」と服部氏。アドリア氏も「世界に類を見ない大会になるよう力を尽くしたい」と意気込む。

 ≪食の問題、解決探る≫

 異色の参加者は今年、米国の「ベスト・シェフ」賞に輝いたグラント・アシャッツ氏。舌がんを患い、料理人にとって致命的な舌の切除手術を受けながらも、厨房(ちゅうぼう)に復帰した。不屈の料理人が持つ料理哲学から、どんなメニューが生まれるか興味深いところだ。

 海外で活躍する日本人も腕を振るう。米国で最も有名な日本人シェフといわれる「ノブ」こと、松久信幸氏、オーストラリアで「ベスト料理店」に選ばれた和久田哲也氏が、和と洋を融合させた“作品”とともに凱旋(がいせん)する。

 一方、農林水産省や、国内の食関連企業が出品する展示会場も併設され、世界に向けて日本の食文化を多角的に紹介。「味覚教育の父」と呼ばれるフランス味覚研究所会長のジャック・ピュイゼ氏を招き、食育の重要性についても発信する。

 「世界と日本の文化交流の拠点になり、日本を取り巻く食の問題の解決策の方向性を探ることもできれば」と服部氏。第一線の技の競演を通して食の今、そして未来が垣間見えそうだ。

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 問い合わせは実行委員会事務局(電)03・3219・3624。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081109-00000525-san-soci