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2008年11月09日(日) 06時05分

久米宏さん「筑紫さんは左サイドバック。乱暴なことを言ってもフォローしてくれた」…筑紫哲也さん通夜スポーツ報知

近親者のみの通夜だったが、井上陽水をはじめ縁ある人々がたくさん弔問に訪れた

 7日に肺がんのため亡くなったTBS系「NEWS23」のメーンキャスターとして活躍した筑紫哲也さん(享年73歳)の通夜が8日、都内の自宅でしめやかに営まれた。近親者のみで行われる予定が歌手の井上陽水(60)を始め、「アメイジング・グレイス」をアカペラでささげた中島啓江(50)ら約50人が訪れた。同時間帯にテレビ朝日系で放送された「ニュースステーション」のキャスターを務めた“戦友”久米宏氏(64)は、TBSのラジオ番組で筑紫さんをしのんだ。

 1年半にわたる闘病生活の末、安らかな表情で逝った筑紫さんの前で、中島は伸びやかな歌声で「アメイジング・グレイス」を響かせた。「(筑紫さんの娘の)結婚式で歌って喜んでくれて。それが、まさかお父さんの前で歌うことになるなんて」筑紫さんを“パパ”と呼んでいた中島はアカペラでの熱唱を、涙ながらに振り返った。

 近親者のみの“密葬”のはずが、弔問客は途絶えない。89年10月の「NEWS23」スタート時のメンバー浜尾朱美キャスター(47)や、元TBSアナウンサーの有村かおりキャスター(49)ら、筑紫さんの“教え子”たちも“恩師”と対面。TBS系の選挙特番で筑紫さんと共演した田丸美寿々キャスター(56)も悲しそうな表情だった。

 マージャンや酒を飲み交わす仲で「NEWS23」の初代エンディングテーマ曲「最後のニュース」を手掛けた井上陽水(60)も姿を見せた。報道陣の呼びかけには無言だったが、7日には「『最後のニュース』という曲は、筑紫さんという存在がなければ出来上がらなかった曲」と、コメントしていた。

 テレ朝系「ニュースステーション」で一時代を築いた久米宏キャスターはこの日、TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」に生出演。7日の時点で「何を言っていいか分からなかった。言うべき言葉がなかったから」とコメントできないほど落ち込んでいた。

 05年9月の衆院総選挙。TBS系の開票特番でタッグを組んだ。「(今年も)年内解散があるかもしれないから『また一緒にやろう』と言っていただいていた」。午後10時開始の「ニュースステーション」と午後11時の「NEWS23」。ともに18年半、ニュースを伝える顔となった。「サッカーで言うと僕がトップ下で、筑紫さんが左サイドバック。僕が乱暴なことを言ってもフォローしてくれる。たまにオーバーラップして、ゴールしてくれる。上がってくれる筑紫さんがいたから、僕は前の方でサッカーができた」と独特の言い回しで語った。

 また女優の渡辺えり、社民党の辻元清美衆院議員、政治学者の福岡政行さん、エッセイストの見城美枝子さんらが参列。森光子、吉永小百合、松山千春、さだまさし、指揮者の小澤征爾氏などから供花が届いていた。

 ◆アッコ沈痛対面 7日夜に弔問「いい男でした」 ○…逝去の一報を受け、7日夜に筑紫さん宅を弔問した歌手の和田アキ子(58)は8日、ニッポン放送「アッコのいいかげんに1000回」に出演後、筑紫さんの遺体と対面した感想を「少し小さくなってらっしゃいましたけど、やっぱりいい男でした」と語った。筑紫さんとともに「NEWS23」に出演したTBSの佐古忠彦アナウンサー(44)も、時間の許す限り筑紫さんのそばを離れなかったという。

 ◆渡辺えり号泣 ○…渡辺えりは、筑紫さんについて「(昨年11月発売の)戯曲集『光る時間(とき)』の後書きで、いい文章を書いてくださったのに、お礼を言えなかったおわびに来ました。20年以上、芝居を見続けてくださった。これほど芝居を愛した人はいない」と号泣。浜尾キャスターは「楽しかった思い出が、後から後からわいてきた」、有村キャスターも「とっても大きな、輝いていた星が一つ落ちてしまいました」と目を潤ませた。

特集   訃報・おくやみ

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081109-OHT1T00024.htm