記事登録
2008年11月08日(土) 13時02分

静和病院の診療報酬水増し:「組織ぐるみ」関与か 虚偽申告容疑で幹部ら逮捕 /静岡毎日新聞

「組織ぐるみ」関与か虚偽申告容疑幹部ら逮捕東伊豆・静和病院
 東伊豆町奈良本の静和病院(吉田晃院長、307床)の診療報酬不正受給事件は、県警の強制捜査から約半年たった7日、事務方トップらが逮捕される事態に発展した。県警は、病院が組織ぐるみで不正な診療報酬受給に関与した可能性があるとみて、吉田院長の関与なども含め、事件の全容解明に向けて捜査を進める。【田口雅士、竹地広憲、山田毅】
 健康保険法違反(虚偽申告)容疑で逮捕されたのは、病院内に住む同病院事務長、水谷信子容疑者(74)と同町片瀬の同病院事務職員(元総務課長)、甲斐静生容疑者(46)。
 調べでは、2容疑者は06年と07年の7月、三島社会保険事務所に健康保険加入手続きをする際、延べ9人分の非常勤看護師の給与を増やした書類を提出。さらに06年4月と10月、退職した看護師2人の健康保険の資格喪失届を同所に提出しなかった疑い。水谷容疑者は容疑を否認しているが、甲斐容疑者は認めているという。
 容疑事実は、診療報酬(入院基本料)の算定基準となる常勤看護師の人数を増やすための偽装工作とみられる。入院基本料は一般病床の場合、入院患者数に対する看護師数で算定され、看護師1人あたりの患者数が少ないほど手厚い看護と認められて報酬額が増える。静和病院の場合、患者15人対看護師1人の割合で申請。1人の入院患者につき1日に954点(1点は10円)が支給されていた。これより患者の割合が高くなると、4割減の575点となる。
 同病院の一般病床(55床)が常に満床だと仮定すると、1日あたり最大約20万円、1年で約7600万円多く診療報酬を受け取れる計算になる。
 今回の2容疑者の逮捕を突破口に、県警は病院の組織実態に迫りたい意向で、事件はさらに拡大する見通しだ。県医療室は「事態の推移によっては病院の開設認可取り消しの可能性もある。入院患者の処遇や動向を注視したい」としている。2年半前まで同病院に勤務した20代の女性看護師は「水谷容疑者は院長並みの権限を持っていた印象。忙しくなると急に怒りやすくなった」と振り返った。

11月8日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081108-00000052-mailo-l22