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2008年11月08日(土) 00時00分

4団体1658万円「不当」  県雇用開発協 カラ出張判明読売新聞

 会計検査院が7日、麻生首相に提出した2007年度決算検査報告で、県内の4団体に総額1658万円の「不当事項」があったと指摘された。この半額を占めた県雇用開発協会は、予算を消化しきるための「カラ出張」や目的外使用などの不正経理が明るみになった。一方で、「検査院の解釈が厳しすぎる」と戸惑いを隠せない団体もあった。

   ■予算消化主義

 障害者や高齢者の雇用促進を目的に、産業界を中心に設立された「県雇用開発協会」(会長=安田裕信・埼玉縣信用金庫理事長)は、約880万円の不適正支出と目的外支出を指摘され、全額返還した。

 協会は01〜02年度、県外への職員の研修旅行名目でカラ出張を20回繰り返して約150万円をプールし、年度末の消費税支払い不足分にあてたという。さらに04〜06年度、使い切れなかった委託費約437万円を資料印刷代などに使ったとして返還せず、「どう処理してよいか分からない」として、手をつけずに協会内の金庫にプールしていた。

 このほか、委託された業務以外の印刷代や総会の会場費などを計上した目的外使用も02、04〜06年度に計275万円あった。

 協会は「歴代の担当者が予算を使い切ろうと考えてきたようだ。飲食など私的流用はない」と述べた。

   ■目的外やミス

 「目的外」と判断された支出や、事務手続きミスも指摘された。

 埼玉労働局は、国庫補助対象の高齢者雇用対策啓発イベントとは直接関係ないパンフレット(1万2500枚)の印刷費が「目的外支出」と判断され、費用の9割の約80万円を国に返還した。04〜05年度のイベント時のスタッフの昼食代計1万7400円も「目的外」と指摘され、返還した。

 所沢市は、05年度の国民健康保険の事務手続きをミスし、本来は健康保険組合などに請求すべき退職被保険者などの医療給付費約210万円を誤って国に請求していた。市は全額を返還する方針。

   ■戸惑いも

 労働局が扱う、小規模事業所の従業員の健康管理・相談にあたる医師への謝礼や旅費のうち、約142万円(5年分)が「過大な支出」とされた。1回あたりに支払う謝礼を「厳密に時給払いすべき」と指摘されたという。事業委託先の団体の事務所費も、5年で約209万円が過大と判断された。労働局は「不正ではなく、長年の決まりでやってきた。検査院の厳密な解釈に驚いている」と戸惑う。

 連合埼玉と県経営者協会が設立した「県地域労使就職支援機構」は、就職セミナー出席者に出す茶や弁当を委託費から支出していたことが不適切とされた。連合埼玉内に置く事務所の賃借料も、相場より月約2万円高いと指摘を受けた。同機構は「厚生労働省と検査院の間で、会計基準の考え方が違う」と困惑顔だが、全額返還した。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20081107-OYT8T00839.htm