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2008年11月08日(土) 15時01分

<和牛商法>社会問題化に利回り引き上げ…再勧誘で詐取継続毎日新聞

 和牛商法「ふるさと牧場」(東京都港区)による詐欺事件で、逮捕された同社社長、相田勇次容疑者(78)らが同業者の摘発が相次いだ97〜98年、解約した自社の元会員らを再び誘い込むため、契約の配当利回りを引き上げ、コースも約800種類まで増やしていたことが分かった。ほとんどが実現不可能な内容で、警視庁生活経済課は相田容疑者らが当初から詐欺目的で利回り引き上げなどを行ったとみて追及する。

 調べではふるさと牧場は95年の設立当初、50万〜300万円の預託金を支払い和牛オーナーになった会員に対し、売却利益の配当を年4〜6%の利回りで保証していた。しかし97年に同業者が出資法違反や詐欺容疑で摘発され、和牛商法は社会問題化した。

 このため、ふるさと牧場にも契約解除や元本返還を求める会員が続出。相田容疑者らは新規の勧誘を1年間取りやめ、解約の申し出に応じたという。詐欺行為が発覚したり、会員から民事訴訟を起こされたりするのを避けるためとみられる。

 しかし経営が極度に悪化したことから、98年には配当利回りを9%前後にまで引き上げて勧誘を再開。1000万円単位の高額コースを設け、利回りを細かく変えることで約800種類もの選択肢があるように見せかけていた。

 また契約期間満了を迎えた大口会員に「もっと高い配当を受け取れる」と預託金を増額した継続コースを提案。さらに商品券を渡すことなどで契約継続を強く勧めたという。

 こうした手口で相田容疑者らは約1万4000人から約387億円を詐取したが、新たな預託金を配当に回す自転車操業だったため、警視庁が07年12月に家宅捜索した際には口座に残った資金は47万円だけだったという。【武内亮、山本太一】

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