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2008年11月08日(土) 02時31分

<16歳少女自殺>「いじめ後遺症」学校認めず 愛知・岩倉毎日新聞

 愛知県岩倉市で06年8月、中学時代のいじめに起因する神経症と診断されて治療中だった高校2年の少女が自殺していたことが分かった。遺書には「もうつかれたの」などと書かれていた。だが中学側は少女が同級生から受けた行為を「いじめではなくいたずら」とし、行為から4年たっていることなどから自殺との因果関係も認めていない。少女の母親は「自殺はいじめの後遺症に苦しみ続けた結果だ」と訴えている。

 この少女は岩倉市に住んでいた高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)。母典子さん(50)や名古屋大医学部付属病院の主治医(当時)によると、美桜子さんは02年4月、名古屋経済大学市邨(いちむら)中学校(名古屋市千種区)に入学したが、夏ごろから翌春まで、同級生から画びょうを靴に入れられたり「きもい」「死ね」などの言葉を浴び、1年修了時に転校した。

 まもなく突然パニックになるなどの症状が表れ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けた。対人恐怖による不登校が続き、06年8月18日未明、自宅マンション8階から飛び降り、全身打撲で死亡した。主治医は自殺時の症状について、中学時代のいじめが強い心的外傷となり、別人格が生じる解離性障害に至ったと判断した。

 中学を運営する学校法人市邨学園職員である典子さんが法人を相手取って起こした地位確認訴訟の控訴審判決(06年3月、確定)で、名古屋高裁も美桜子さんがいじめを受けたと認定。だが同法人は現在も典子さんに対していじめ自体を認めておらず、毎日新聞の取材にも「こちらの認識を変えることはない」と話している。文部科学省のいじめ統計では06年度に起きたいじめ自殺は6件で、美桜子さんは含まれない。

 自殺問題に詳しい精神科医の吉川武彦・国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長は「PTSDなどでいじめを受けた時から環境が変わった後で自殺するケースはあるが、調査はできていない。いじめられた子どもの行政や学校による追跡調査が必要だ」と指摘している。【飯田和樹】

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