記事登録
2008年11月07日(金) 02時30分

<筑波大付属病院>民間病院に研修機関…全国から医師を公募毎日新聞

 筑波大付属病院(茨城県つくば市)は来年4月、水戸市の水戸協同病院(401床)内に臨床教育・研修機関を新設する。全国から医師10人近くを公募して教授などの肩書で教員として配置する。研修医の医局離れを食い止めたい大学病院と、教員である医師と研修医を受け入れて医師不足を解消したい地方の病院の思惑が一致した。厚生労働省によると、国立大学法人の病院組織の一部を民間病院内に置くのは珍しいという。

 名称は「筑波大付属病院水戸地域医療教育センター」。筑波大と、水戸協同病院を運営する茨城県厚生農業協同組合連合会が7日に協定を結び、正式決定する。

 04年に始まった新人医師の臨床研修制度で、専門性の高い症例に偏りがちな大学病院から研修医が離れる傾向が全国で進んでいる。高収入や接する症例が多いことなどを理由に、出身大学ではなく都会の大病院を選ぶ研修医が増加し、筑波大を含む多くの大学医局で定員割れとなっている。

 筑波大は、症例が豊富な民間病院での研修により、研修医を呼び込むことができると期待する。一方、かつて約40人いた医師がほぼ半減した水戸協同病院も大幅な増員が見込める。

 水戸市や県にとっても、筑波大教員の肩書で他地域から優秀な医師を集めることで、人口あたりの医師数が全国最低レベルの県内の医師不足問題解消の一助となる可能性がある。

 県内の医療関係者は「教員が医師の多い地域から来れば理想的だ。ただ、足りない地域から応募があった場合は、医師偏在を助長する恐れがある」と話している。【八田浩輔】

【関連ニュース】
妊婦死亡:7病院に受け入れ拒否され手術3日後に 東京
妊婦死亡:拠点病院なのに… 産科医不足、また悲劇
刑事施設:高齢化ズシリ…医薬品費、1年間で1.5億円増
舛添厚労相:都道府県に周産期センターの改善策報告を要請
社会保障費試算:判断材料乏しく 追加負担増に触れず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081107-00000007-mai-soci