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2008年11月07日(金) 02時18分

成田空港株3分の1超を保有 重要事項に拒否権産経新聞

 国土交通省は6日、平成22年度の株式上場が見込まれる空港運営会社の成田国際空港会社に関して、上場後の数年間は政府が3分の1超の株式を保有し続ける方針を固めた。株主総会で重要事項を決議できる「3分の2以上の賛成(特別決議)」に対して拒否権を持つのが狙いで、外資などからの買収防衛策といえる。また、同空港会社の株式を20%以上取得しようとする国内外の企業に対して「認可制」を導入する考えだ。

 成田空港会社の株式は現在200万株発行されており、政府が100%保有している。国交省は上場前に、主幹事となる証券会社を決め、1株当たりの価格を決定する。この価格をもとに、3分の2弱の株式を売却して上場する。その後、成田空港や羽田空港の発着容量がどの程度まで拡大できるかなどを見極め、上場から5〜10年をめどに残りの保有株式を売却、完全民営化を果たす。

 上場にあわせ、特定の株主が一定割合の株式を取得する場合、認可を必要とする認可制も導入する。政府が保有する3分の1超の株式を売却するときに備えた制度。来年の通常国会で、空港法など関連法の改正を行い対応する。

 空港会社への出資規制について、国交省は今年の通常国会で旧空港整備法を改正し、外資出資比率を3分の1未満に規制する形で対応する考えだった。外国企業が日本の空港を運営すると安全保障の面と、短期的な利益をあげるため着陸料を大幅に引き上げることなどを懸念する声がある。

 しかし、政府や自民党内から「対日投資促進の政府方針に逆行する」といった反対意見が出され、改正案から外資規制の部分を削除し、法案を通した経緯がある。今年8月には改めて有識者からなる研究会を立ち上げ、検討を実施してきたものの、外資規制に関しては賛同が得られず導入を見送った。

 国交省としては経営に対する影響力を残し、国の航空戦略を最大限反映させたい考えだ。

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