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2008年11月07日(金) 01時26分

日本、環境政策見直しも 積極派オバマ登場で産経新聞

 次期米大統領にバラク・オバマ上院議員(民主党)が決まったことで、米国の地球温暖化問題への取り組みが加速するとの見方が強まっている。積極派の欧州連合(EU)、消極的な米国の間で「バランスを取ってきた」と自負する日本だが、二酸化炭素(CO2)排出量世界一の米国が重い腰を上げれば、戦略の練り直しを迫られることは必至なだけに、その本気度を慎重に見極めていく考えだ。

 「米国はすでにポスト京都に来年末に結論を出すことに合意している。(政権が交代しても)大きな変化はない」。望月晴文経済産業事務次官は、6日の会見でこう見通しを語った。

 ただ、ブッシュ現政権(共和党)は、京都議定書から離脱するなど温暖化対策に消極的だったのは事実だ。これに対して、オバマ氏は選挙戦で、水力発電など再生可能エネルギーの電力に占める割合を現在の8%から、2025年までに25%に高めると主張してきた。

 実現すれば、50年にはCO2など温室効果ガスの排出は1990年比で80%削減できる見込みで、額面どおりであれば、米国は温暖化対策で大転換することになる。このため、環境省の西尾哲茂事務次官は同日の会見で「新大統領が温暖化対策に積極的に取り組んでいただくことに大いに期待をしたい」と述べている。

 しかし、日本としては歓迎ばかりしていられない。

これまでは、「次期枠組みに米国を組み入れるためには、ハードルを高くしすぎてはいけない」と主張して、EUなどの批判をかわしてきた。日本は1970年代に世界に先行して省エネ化を進めてきた。東欧を巻き込むことで大幅な削減が可能なEUとは事情が違う。

 消極的な米国は「ありがたい存在」との側面もあっただけに、米国が方針転換することは手放しで喜べないのも事実だ。

 しかし、米国にとって目下の課題は経済対策。中低所得者を対象にした大幅な減税も打ち出しており、財政の逼迫(ひっぱく)も予想され、温暖化対策は後回しにされる可能性が高く、政府は米国の動向を慎重に見極めたい考えだ。

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