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2008年11月07日(金) 01時08分

田母神前空幕長に退職金自主返納求める 防衛相示唆産経新聞

 浜田靖一防衛相は6日の参院外交防衛委員会で、政府見解と異なる歴史認識を含む論文を公表し航空幕僚長を更迭された田母神(たもがみ)俊雄元空将(60)=3日付で定年退職=に対し、退職金の自主返納を求める考えを示した。田母神氏には5000万円前後の退職金が支払われるとみられることから、与党から「多額の退職金をこのまま渡していいのか」(北側一雄公明党幹事長)などと支払い停止を求める声が上がっていた。浜田氏もこうした公明党など与党の意向に配慮して、自主返納を求める意見を表明した格好だ。

 公務員の退職金は国家公務員退職手当法で本人が辞退しない限り支払われることが決まっている。だが、浜田氏は委員会で「今回の事案の重大性を考えれば、自主返納という本人の判断を待ちたい」と語った。

 公務員の退職金は懲戒免職となった場合、支払われない。また、在職中に懲戒処分を受けた場合に減額されるケースがある。

 防衛省関係者によると、田母神氏は定年退職の発令に先立ち、同省に「懲戒処分に当たるのかどうか徹底的に議論したい」と申し入れ、懲戒処分の是非を決めるため処分対象者の意見を聞く「審理」の場で、論文の記述内容などについて争う姿勢をみせていた。

 しかし、防衛省は田母神氏が求めた審理を行わないまま、定年退職とし、退職金の支払いを決めた。こうした対応について、浜田氏は6日の委員会で、「懲戒処分の形を取ろうとすると、審理に10カ月以上かかることもある。定年延長せずに今できる一番早い処分を考えた」と説明した。

 空幕長(62歳定年)を解かれた田母神氏に適用された60歳定年を延長しても、誕生日から半年後の来年1月には退官を迎え、退職金の受給対象になる。審理に入った場合、来年1月までに懲戒処分が確定するのは困難なため、浜田氏は委員会で「今回の措置を取らなければ空将のままなので、月々給与が支払われ、一層お金がかかる」と述べた。

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