記事登録
2008年11月07日(金) 00時19分

前空幕長を参考人招致 11日に参院委、空自78人も論文中国新聞

 参院外交防衛委員会は六日午後、侵略戦争を正当化する論文を公表し更迭された田母神俊雄たもがみ・としお・前航空幕僚長を十一日に参考人として招致することを全会一致で可決した。

 自民党は同委員会で審議中のインド洋での給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案と直接関係ないとして反対していたが、招致が実現すれば法案採決に応じる姿勢を民主党が示したことなどから方針転換した。

 早ければ十三日の委員会で麻生太郎首相も出席して総括的な質疑を行った上で採決。参院否決—衆院再議決を経て今月中旬にも成立する公算だ。

 一方、防衛省は六日の民主党外務防衛部門会議で、田母神氏が応募した懸賞論文に、同氏以外にも航空自衛官七十八人が応募していたことを明らかにした。

 浜田靖一防衛相は同委員会の答弁で、田母神氏に約六千万円の退職金を自主返納するよう求める考えを示した。

 懸賞論文の応募者は二百三十五人で、三割が空自隊員だったことになる。防衛省によると、航空幕僚監部教育課が「自己研さんに役立つ」として懸賞論文を各部隊に紹介していた。空自トップの田母神氏の意向を踏まえ組織的に投稿していた可能性も出てきた。田母神氏は三日の会見で「強制は全くしていない」と述べている。内局や陸自、海自の応募者はゼロ。

 投稿していたのは一等空佐、二等空佐が各三人、三等空佐が四人、尉官が六十四人と、大半が幹部クラスだった。また七十八人のうち六十二人が第六航空団(石川県小松基地)に所属していた。

 懸賞論文を主催したマンション・ホテル開発企業「アパグループ」(本社・東京)の本店は金沢市にある。田母神氏は一九九八年十月から九九年十二月まで小松基地司令を務めており、この時代に同社の元谷外志雄代表と知り合ったという。

 これに関連し河村建夫官房長官は同委員会などで、七十八人に関しても「政府の方針に反するものがあれば当然、考えていかなければならない」と述べ、論文の内容次第で厳正に対処する考えを表明。田母神氏について「任命権者は防衛相だが、内閣承認人事であり、内閣に責任がある」と任命責任を認めた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811070087.html