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2008年11月07日(金) 00時00分

学費 払えない読売新聞

大学 奨学金創設相次ぐ

 景気の後退で、学費や生活費に窮する学生が増えている。大学の中には、新たに奨学金を設けるなど支援の動きも出始めた。

 「父親がリストラされそうで、とても学費は払えない。それでも何とか卒業したい」。平均株価がバブル後最安値を更新した10月27日。明治学院大(東京・港区)が「金融危機に対する緊急奨学金」の募集を始めると、1人の男子学生が窓口にそう訴えてきた。

 学生の父親は東海地方の自動車関連会社に勤務しているが、仕事が急激に減って、収入の見通しが立たないという説明だった。

 この奨学金は上限50万円で返済不要。これまでに30人近くが相談に訪れた。父親が米国の企業で働いているため、「間違いなく解雇されてしまう」と不安がる学生もいた。

 「切迫しているのは1人や2人じゃない」。川上和久副学長は「想像以上に困っている学生は多い。この状態が続けば、相談はもっと増えるのではないか」と表情を曇らせた。

 慶応大も来春から、家庭の経済事情だけで授業料を最大で全額支給する奨学金を創設する。今年の創立150周年記念事業の一つとして準備してきたが、西村太良常任理事は「今後、困窮している学生は増えるのは確実で、それに間に合った」と語る。

 早稲田大では、入試の出願前の段階で奨学金を受け取れるかどうかを決める「予約制」の奨学金を、来春から全国の大学で初めて始める。

 もともと再来年から導入する予定だったが、米大手証券リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)をきっかけにした金融危機を受け、1年前倒しすることを決めた。合わせて、急激な円高に苦しむ外国人留学生のため、学費の納入期限を来年3月末から同7月1日まで延長する措置も取る。

 6日の記者会見で、導入を発表した白井克彦総長は強調した。「経済状況が悪くなってという理由だけで、若者が大学で学ぶ機会を奪うわけにはいかない」

http://www.yomiuri.co.jp/national/kishimu/kishimu081107_01.htm