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2008年11月07日(金) 23時03分

「捜査ミスで死亡」認定、女性殺害で2000万円賠償命令 東京地裁産経新聞

 東京都足立区の朝日新聞販売店従業員寮で平成16年、小出亜紀子さん=当時(24)=の遺体が発見された事件で、小出さんが殺害されたのは「家族からの相談があったのに警察が捜査しなかったため」として、両親が東京都などに損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。生野考司裁判長は「必要な捜査をしていれば殺害を回避できた可能性が高い」として、死亡と捜査ミスの因果関係を認め、請求通り2000万円の支払いを命じた。

 生野裁判長は、小出さんが行方不明になった後、両親や友人が警視庁多摩中央署に何度も相談し、捜索願を提出していたことを認定。これを受けた警察は、加害者との間の過去のトラブルや、加害者の住所のほか、小出さんが泣きながら知人に「捜さないで」と伝えた電話の内容を知っていたと指摘し、「警察は(殺害される約2週間前の)16年1月5日には、小出さんが監禁され、命の危険が迫っていたことを認識できた」とした。

 その上で「適切に情報を共有して捜査していれば、殺害前に小出さんを発見できた可能性は高い」とし、死亡と初動段階での捜査怠慢の因果関係を認めた。

 同様の裁判では、14年に神戸市で大学院生の浦中邦彰さん=当時(27)=が暴力団員らに殺害された事件で、死亡と捜査怠慢の因果関係を認めた判決が最高裁で確定。11年に栃木県の会社員、須藤正和さん=当時(19)=が少年グループに殺害されたリンチ事件では、1審は捜査怠慢との因果関係を認めたが、2審は殺害が回避できた可能性を「3割程度」とし、賠償額を減額している。

 近藤守澄・警視庁訟務課長の話「当方の主張が認められなかったことは残念。関係機関と協議の上、今後の対応を決めたい」

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