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2008年11月07日(金) 22時12分

足立監禁殺人 警視庁の捜査怠慢認定 東京地裁毎日新聞

 東京都足立区の新聞販売店従業員寮で04年1月、段ボールの中から小出亜紀子さん(当時24歳)の遺体が見つかった殺人事件で、小出さんの両親が東京都と加害者側に損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。生野考司裁判長は「警視庁が直ちに捜査していれば死亡前に発見できた可能性が高い」と捜査怠慢を認定し、請求通り2000万円の支払いを命じた。

 事件では、元朝日新聞販売店従業員の本間直人受刑者(28)と当時19歳だった交際相手の女(24)が小出さんを約1カ月監禁して暴行。04年1月に凍死させたとして、ともに殺人罪などで懲役13年の判決が確定している。

 判決によると、小出さんの母親は03年12月、警視庁多摩中央署に捜索願を出してトラブルがあった本間受刑者の電話番号や写真を渡した。死亡約2週間前には、小出さんが脅されたように泣きながら「もう電話をかけてこないで」と電話をしてきたことも伝えたが、同署は「事件性がない」と捜査要請に応じなかった。

 生野裁判長は「慎重に協議すれば、監禁の可能性が高いと判断できた。生命身体に対する切迫した危険性を容易に認識できたのに、捜査を一切行わなかった対応は違法」と指摘し、捜査怠慢と死亡との因果関係を認めた。

 捜査怠慢と被害者の死亡との因果関係を認めた判決は、神戸市の大学院生殺害事件(02年)の1、2審や、栃木県の会社員リンチ殺人事件(99年)の1審があるが、両親の弁護士は「警察の責任を全面的に認める判決で評価できる」と話している。【銭場裕司】

 ▽近藤守澄・警視庁訟務課長の話 主張が認められず残念。関係機関と協議し、今後の対応を決めたい。

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