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2008年11月07日(金) 21時52分

<足立監禁殺人>両親「いい報告できる」毎日新聞

 「悪夢のような事件から長くてつらい日々でした。やっと亜紀子にいい報告ができる」。東京都足立区で04年、新聞販売店従業員寮で女性の遺体が見つかった殺人事件で、警視庁の捜査怠慢を認めた7日の東京地裁判決。「警察の責任をはっきりさせたい」と裁判を闘ってきた両親は会見で「2度とこのようなことがないようにしてほしい」と訴えた。

 長女の小出亜紀子さん(当時24歳)が行方不明になったのは03年12月14日。母親(53)や友人らが警察署を何度も訪ね、加害者から過去に借金を強要されていたことなどを伝えて捜査を頼んだが、「事件性がない」と拒まれた。他人の携帯電話から「2万円を持ってきて」と連絡してきたやり取りを伝えて電話番号の持ち主を調べるように求めても「たかが2万円でしょう」と相手にされなかった。

 警察署の担当課は、逮捕監禁の捜査を担当する別の課と対応を協議したが、加害者の写真や電話番号など資料は持ち込まず、過去のトラブルも報告しなかった。判決は「情報を共有して慎重に協議すれば死亡前に発見できた可能性が高い」と捜査の怠慢を指摘した。

 父親(55)は「亜紀子は助けを求めていたのに、警察は受け入れてくれなかった。勝訴で肩の荷が降りた気がしますが警察への信頼感は薄れました」と語りまぶたを押さえた。

 代理人の水口真寿美弁護士は「真摯(しんし)に捜査しなかったことと組織内で情報が共有されなかった二つの問題を判決は指摘した。今後の捜査の在り方に与える意味は大きい」と話した。【銭場裕司】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081107-00000133-mai-soci