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2008年11月07日(金) 21時15分

殺人事件で捜査の怠慢認める判決、都などに2千万円賠償命令読売新聞

 東京都足立区の新聞販売店従業員寮で2004年1月、段ボール箱の中から多摩市の保険外交員、小出亜紀子さん(当時24歳)が遺体で見つかった殺人事件で、小出さんの両親が「捜査を頼んだのに聞き入れられなかった」として、都と加害者の男女、女の母親に損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。

 生野考司裁判長は「警察が適切に捜査していれば、被害者が死亡する前に救出できた可能性が高い」と述べて捜査の怠慢を認め、被告全員に請求通り計2000万円の賠償を命じた。

 判決によると、小出さんは、2003年12月中旬、以前交際していた本間直人受刑者(28)(殺人などの罪で懲役13年の実刑)と当時未成年の女(24)(同13年で受刑中)に呼び出され、都内のアパートに監禁された。殴られたり、熱湯をかけられたりの暴行を受けたうえ、食事も十分に与えられなかった結果、04年1月20日に死亡した。

 小出さんは以前から2人に金を要求され、トラブルになっていたことから、小出さんの母親や友人は03年12月19、20日、警視庁多摩中央署に行き、2人の実名や写真を示して捜査を依頼。04年1月5日には友人の携帯電話に小出さんから泣きながら電話があり、同署の警察官も小出さんと電話で話したが、同署は事件性はないと判断し、捜査を行わなかった。

 こうした経緯から、判決は「警察は1月5日には、被害者に危険が迫っていたことを容易に知ることができた」と指摘。事件当時、加害者の女は少年院を仮退院して保護観察中だったことから、「保護司を通じて加害者のアパートを訪ねれば死亡前に被害者を発見できたのに、そうした捜査を一切行わなかったのは著しく不合理」と述べ、捜査の怠慢と死亡に因果関係があったと結論づけた。

 都側は「家族らの相談は緊迫感が欠けていたし、小出さんも警察官との電話でしっかりした口調で話していた」と主張していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081107-00000062-yom-soci