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2008年11月07日(金) 15時02分

被害者の死、回避できた=捜査怠慢認め賠償命令−箱詰め女性遺体事件・東京地裁時事通信

 東京都足立区の新聞販売店従業員寮で2004年1月、段ボール箱に入った小出亜紀子さん=当時(24)=の遺体が見つかった事件で、都内の両親が加害者の元同店従業員の男(28)=殺人罪などで服役中=らと東京都に慰謝料を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、警視庁が適切な捜査をしていれば被害者の死は回避できたとして、請求通り2000万円の支払いを命じた。
 生野考司裁判長は、両親らから具体的な相談を受けながら事件性はないと判断した多摩中央署について、「被害女性が監禁されている可能性が高いと判断できた」と指摘。死亡する約2週間前には、泣きながら電話があったなどと母親から伝えられており、遅くともこの時点で捜査を開始する義務が生じていたとした。
 都側は「両親らの態度はあいまいで、切迫した危険の存在は認識できなかった」と反論したが、友人も同じ日に2回、同署を訪れて訴えるなどしていたとして、「異常事態を察するべきだった」と捜査の怠慢を認定。死亡との因果関係を認め、捜査権限の不行使は違法と結論付けた。監禁中、現場アパートには共犯の元少女(24)=服役中=の母親が3日間寝泊まりしていた。判決は加害者2人に加え、この母親にも、「暴行の事実を知りながら、保護観察中だった自分の娘を心配して対処しなかった」と賠償責任を認めた。判決によると、元従業員らは03年12月から1カ月間、同区のアパートで小出さんに暴行を繰り返し、04年1月20日未明、下着1枚で室内に放置し凍死させた。遺体を段ボール箱に隠し、転居先の従業員寮に運んで隠した。 

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