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2008年11月07日(金) 11時54分

不正経理など最悪1253億円 会計検査院決算報告産経新聞

 会計検査院は7日、国や政府出資法人などの平成19年度決算の検査報告をまとめ、麻生太郎首相に提出した。税金の不正経理などいわゆる「不当事項」や、税金の無駄遣い、国費の執行状況に関する指摘は総額で1253億円。件数は過去20年間で最多だった17年度報告より508件多い981件で過去最多を大幅に更新した。このうち実質的な不正経理の指摘などは昨年より177億円多い377億円にのぼった。

 検査は各省庁や出先機関、国が出資する特殊法人など約3300カ所を対象に実施。省庁・機関別で最も指摘額が多かったのは、法務省で315億円。次いで中小企業金融公庫の297億円、厚生労働省の170億円。

 法務省に関しては、国有財産として土地や建物を取得した際などに、訓令に反して法務局などに登記の申請が行われていないケースが国有財産台帳価格で313億円あることを指摘し、改善を求めた。

 厚労省では、18年度検査報告で、労使紛争の動向などをめぐり、情報を収集するためとして「報償費」を厚労省OBや新聞記者などに支払っている事実を突き止め、報告書に掲載。今年はそのうちの一部が厚労省の担当者にキックバックされ、裏金になっていた事実を新たに掲載した。厚労省は「情報収集のため、労組幹部らとの会合に充てた」と供述したとされるが、検査院は領収書などが一切なかったため、使途は不明と結論づけた。

 今年は平成14〜18年度に国土交通、農林水産両省が交付した公共事業の補助金を含む経理処理を対象に検査を実施したところ、岩手、愛知など全国の12道府県で不適正な経理が発覚。総額で11億3700万円にのぼり、国庫補助金相当額でも5億5600万円にのぼった。

 このうち「預け」と呼ばれ、出入り業者に文房具などを購入したことにして、公金を預け、その金を適宜使ってパソコンの購入費などに充てる不正経理が愛知、岩手、和歌山、長野、栃木、京都の1府5県で見つかった。

 このほか国の補助事業と関係がない道府県単独事業の出張旅費を補助事業に付け替えたり、国の補助事業を行っていない部署のアルバイトの賃金を補助事業から支払うなどの不正経理が12道府県すべてで見つかった。

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