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2008年11月07日(金) 22時28分

<「痴漢」損害賠償>最高裁「審理尽くさず」と差し戻し毎日新聞

 電車内で痴漢をしたとして逮捕され不起訴になった男性が、被害申告した女性に1135万円余の賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長=今井功裁判官代読)は7日、痴漢行為を認めて請求を棄却した1、2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。小法廷は「2審は痴漢行為の認定にあたり審理を尽くしていない」と指摘した。

 訴えていたのは、東京都国立市の沖田光男さん(66)。沖田さんは99年、JR中央線の電車内で大学生の女性に下半身を押しつけたとして、都迷惑防止条例違反容疑で現行犯逮捕されたが、嫌疑不十分で不起訴になった。女性は当時、携帯電話で話しており、沖田さんは「電話を注意したら逆恨みで虚偽申告された」と主張した。

 通話相手だった知人男性については、事情聴取した検察官が1審でその証言内容を語っただけ。沖田さん側は2審で男性を証人申請したが、高裁は採用しないまま痴漢行為があったと認定した。小法廷は、男性の証人尋問をして会話内容などを確かめることなく、具体的根拠に乏しいまま女性に有利に推測した2審の結論には問題があると結論付けた。

 判決後の会見で、沖田さんは「犯罪者のレッテルがなくなった。もう一歩踏み込んでほしかったが、あと少し頑張りたい」と話した。【北村和巳】

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