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2008年11月07日(金) 11時14分

和牛商法 「ふるさと牧場」社長ら6人を詐欺容疑で逮捕毎日新聞

 和牛のオーナーになれば高配当が得られるとうその投資話を持ちかけ、会員から集めた預託契約金をだまし取ったとして、警視庁生活経済課は7日、「ふるさと牧場」(東京都港区)社長、相田勇次容疑者(78)=港区芝浦2=ら同社幹部6人を詐欺容疑で逮捕した。設立からの約12年間で全国の約1万4000人から約387億円を詐取したとみられ、生活経済課は全容解明を進める。和牛商法の被害額としては過去最悪となった。

 ほかに逮捕されたのは▽元総務部長、所詔次(65)=さいたま市南区南浦和▽元営業課長、藤次史郎(46)=足立区西新井=ら5容疑者。

 調べでは、相田容疑者らは資金繰りが破綻(はたん)して、預託契約金や還元割当金を支払えないのに、練馬区の無職女性(41)ら8人に対し、「預託金250万円。2年コースで予定利回りは7.4%」などとうその書かれたパンフレットを郵送。03年9月〜昨年10月に53回計約1億9800万円を振り込ませ、詐取した疑い。

 相田容疑者は容疑を認め「金集めが目的だった。牛を飼育していたのは、詐欺行為を隠ぺいするためで、牛の相場も知らなかった」と供述している。

 ふるさと牧場は95年設立。まず会員に子牛を購入させて飼育を引き受け、数年間の契約期間終了後に買い戻した後、市場での売却益から出資額に応じて6〜9%程度の利回りを還元する「国産牛委託オーナーシステム」制を採用していた。

 しかし同社は02年3月ごろ、福島県内の畜産業者が経営する牧場との契約を解除。牛を確保できないまま勧誘を続けていた。預託金の大半は、会員への配当や人件費などに回す自転車操業の状態だったとみられる。

 07年ごろから配当の支払いが滞り、預託金返還などを求める訴訟が全国で相次いだ。警視庁は昨年12月、ふるさと牧場を出資法違反(預かり金の禁止)容疑で家宅捜索。農水省は同月、預託法に違反したとして1年間の業務停止処分にした。

 元本保証や高配当をうたう和牛預託商法は90年代に広まり、一時は20業者近くあったとされるが、摘発が相次ぎ、大半は姿を消している。【武内亮、山本太一】

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