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2008年11月07日(金) 15時02分

和牛商法 返金、配当に応じず悪質姿勢…訴訟相次ぐ毎日新聞

 「2万頭達成に向け精進します」「出資法に違反しない公明正大な事業へ再編」。7日、警視庁に詐欺容疑で逮捕された相田勇次容疑者(78)が社長を勤める「ふるさと牧場」(東京都港区)の会報やパンフレットには誠実さを強調する言葉が並ぶ。しかし、返金や配当に応じないその悪質な姿勢に、全国の被害者からは被害回復を求める訴訟が相次いでいるという。【武内亮、山本太一】

 00年発行されたふるさと(共済=当時)牧場の会報「FURUSATO」。オーナーの女性2人を交えた対談で、相田容疑者は「悪徳業者が詐欺まがいな事をやったり、実際に詐欺を行ったり、大きな社会問題になった。今私どもが残っているということで誠実が証明されてよかった。雨降って地固まるといった感じですね」と話していた。

 東京都町田市の無職男性(77)がふるさと牧場に100万円を預けたのはその4年前の10月。中小企業の経営者を支援する福祉財団が発行している書籍の中の広告が目にとまった。「しっかりした財団だから大丈夫だろう。利率が高いので、老後の生活を豊かにできる」。妻(66)と話し合い、貯金を取り崩して契約した。

 コース名は契約期間3年の「わかば」。満了日の99年10月には配当を含め112万円が振り込まれる予定だった。だが、満期を迎えても入金はない。催促の電話をかけると事務員が「少し待ってください。必ず返します」と繰り返し、振り込み日はどんどん延ばされた。だまされたと思ったが、手遅れだった。

 この男性は毎年1回、ふるさと牧場あてに返金を促す手紙を送り続けている。一方、同社からは「事業が上向いてきたので、もっと出資してほしい」と呼びかけるパンフレットがたびたび届く。妻は「人をバカにしているとしか思えない。増資を求める前にきちんと返すものを返すのが筋だ」と憤る。

 ◇「だますつもりなかった」

 相田容疑者は6日、毎日新聞の取材に「オーナーの会員たちをだますつもりはなかった。罪は償いたい」などと答えていた。一問一答は次の通り。

 −−ふるさと牧場を始めたきっかけは。

 福島県で牧場を経営していた男性に94年に誘われた。「みちのく」という名前も考えたが、全国に通用するということで「ふるさと」と名付けた。

 −−牧場との契約を解除したのは。

 03年ごろ。この男性は(農水省に)「えさ代を払わなくなったから牛を引き揚げた」と説明しているが違う。男性がオーナーの所有する牛を勝手に持っていったという認識だ。

 −−会員から委託金をだまし取る意図はなかったのか。

 飼育していないのに委託金を募っていたことは認める。ただ、だますつもりはなく、集めた金は男性や社員らが勝手に使い込んだ。会社にはお金は残っていない。

 −−会員に対してどう謝罪するのか。

 (このような事態を招いたのは)私自身の監督責任だと思っている。罪はきちんと償いたい。男性や社員らから取り戻せるお金は取り戻してオーナーに返還したい。

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