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2008年11月06日(木) 07時01分

高利の借金支払いに切迫…著作権“値下げ”スポーツニッポン

 著作権譲渡をめぐる詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)らが当初、大手広告代理店などに18億円で著作権の譲渡契約を結ぼうと持ち掛けていたことが5日、分かった。しかし、次々と断られ、兵庫県芦屋市の投資家男性と10億円で合意。特捜部は8億円の“大幅値下げ”をするほど切迫していたとみて経緯を調べている。

 失墜した“小室ブランド”を象徴するような大幅値下げだ。関係者によると、小室容疑者らは05年ごろ、もともと音楽出版社に譲渡していた全806曲の著作権を「二重譲渡」する形で現金を得ようと計画。18億円を提示して大手広告代理店などを回った。

 その中には、小室容疑者が「年60%」にも上る3億円の高利融資を受け、今回詐取したとされ問題となっている5億円のうち3億4000万円を返済に充てたA・Cホールディングス(東京、旧南野建設)も含まれていたという。旧南野建設は「最後の大物仕手筋」といわれた西田晴夫被告(58)が07年に逮捕された株価操縦事件の舞台となった会社だ。

 だが、契約は成立せず、06年6月、共犯とされる木村隆(56)、平根昭彦(45)の両容疑者は投資家男性と18億円で交渉を開始。折り合いがつかなかったため、小室容疑者が10億円に値下げし、同年8月に仮契約が成立した。投資家がそのうちの5億円を先に送金した後、著作権の譲渡権限が小室容疑者にないことが発覚すると、今度は7億円に減額することを申し出てきたという。

 また、5億円は振り込まれたその日にA・C社への返済に充てられた上、1億5000万円も小室容疑者の借金を肩代わりした木村容疑者に支払われていた。兵庫県の投資家と10億円で仮契約した際、小室容疑者は「印税収入の差し押さえ解除のために必要」と説明して5億円を支払わせていたが、特捜部は当初から借金返済が目的だったとみて詳しい経緯を調べる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081106-00000045-spn-ent